第八十三話
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ていたらしく、里香が嬉しそうにスマホをこちらに見せてくる。それを屈んでのぞき込むと、そこには――
「……ボロボロだな、服」
服……というより、防具自体の耐久度を下げる攻撃でも連続で喰らったのか、服がボロボロな三人組がそこにはいた。リズもリーファもシリカも、特に街とクエストで着る服を替えたりしないタイプなので、これでは日常生活も不便だろうと邪推してしまう。
「そこじゃないわよ! 変なとこ見ないの!」
「いや、だってこれ……キリトか?」
つい現実逃避して関係ないところに目をつけてしまったが、その写真にはありえないことに……キリトがいた。リズに無理やり写真のセンターにされているキリトは、キリト本人とは細部や装備は違うのだが、全体的なパーツがとても似ていて、何より彼の代名詞たる《二刀流》を装備していた……まあ、キリトは最近二刀流を見せてはいないのだが。キリトの変装かイメチェンといっても通りそうだが、あいにくキリトは当日GGOの方にログインしていた。
「やっぱり、ぱっと見似てるわよねぇ。《クロ》って名前で……その、SAO生還者ですって」
――SAO生還者。少し言い辛そうにした里香の口から、まさかの言葉が漏れでていた。……まさか自分たち以外にも、好き好んでVRMMORPGに再び関わっている者がいようとは。
「それで、キリトに憧れてそんな格好してるんですって。……ちなみに女の子よ。しかも、可愛いの!」
「女性キャラ? これでか?」
……最後の、いかにも重要そうな注釈は無視することにすると、そのキリトのようなアバターを見て少し驚く。それと同時にGGOでの自身の花魁のようなアバターと、キリトのいかにも女子といったアバターを思い出し、少しショックを受けるというオマケ付きで。
「うん。会った時、口調まで男っぽくしてたからビックリしちゃったわよ。中は可愛い女の子だったけど」
「中って……リアルで会ったのか?」
「会ってないけど……強いて言うなら、乙女の勘、かしらね」
何故かドヤ顔をしてくる里香を横目にしつつ、俺は行列の進み具合を確認する。行列自体は順調に進んでいて、何も問題はないが……黒い筐体からは反響して男女の悲鳴が聞こえてきて、中で何が起こっているのか想像もつかない。
「……何かしらね、今の悲鳴」
どうやら里香にも聞こえていたらしく、不審げにその黒い筐体を眺めていた。このゲームセンターの歓声の中、反響があるにせよここまで聞こえてくるとは、はっきり言って異常である。
「次の方、どうぞー」
知らず知らずのうちに身構えていた俺たちは、店員のその声でハッとなるが、自分たちに向けられた声ではなかったらしい。自分たちの前に並んでいたカップルが、目の前の黒い筐体へと入って
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