暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−銀ノ月−
第八十三話
[3/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ていたらしく、里香が嬉しそうにスマホをこちらに見せてくる。それを屈んでのぞき込むと、そこには――

「……ボロボロだな、服」

 服……というより、防具自体の耐久度を下げる攻撃でも連続で喰らったのか、服がボロボロな三人組がそこにはいた。リズもリーファもシリカも、特に街とクエストで着る服を替えたりしないタイプなので、これでは日常生活も不便だろうと邪推してしまう。

「そこじゃないわよ! 変なとこ見ないの!」

「いや、だってこれ……キリトか?」

 つい現実逃避して関係ないところに目をつけてしまったが、その写真にはありえないことに……キリトがいた。リズに無理やり写真のセンターにされているキリトは、キリト本人とは細部や装備は違うのだが、全体的なパーツがとても似ていて、何より彼の代名詞たる《二刀流》を装備していた……まあ、キリトは最近二刀流を見せてはいないのだが。キリトの変装かイメチェンといっても通りそうだが、あいにくキリトは当日GGOの方にログインしていた。

「やっぱり、ぱっと見似てるわよねぇ。《クロ》って名前で……その、SAO生還者ですって」

 ――SAO生還者。少し言い辛そうにした里香の口から、まさかの言葉が漏れでていた。……まさか自分たち以外にも、好き好んでVRMMORPGに再び関わっている者がいようとは。

「それで、キリトに憧れてそんな格好してるんですって。……ちなみに女の子よ。しかも、可愛いの!」

「女性キャラ? これでか?」

 ……最後の、いかにも重要そうな注釈は無視することにすると、そのキリトのようなアバターを見て少し驚く。それと同時にGGOでの自身の花魁のようなアバターと、キリトのいかにも女子といったアバターを思い出し、少しショックを受けるというオマケ付きで。

「うん。会った時、口調まで男っぽくしてたからビックリしちゃったわよ。中は可愛い女の子だったけど」

「中って……リアルで会ったのか?」

「会ってないけど……強いて言うなら、乙女の勘、かしらね」

 何故かドヤ顔をしてくる里香を横目にしつつ、俺は行列の進み具合を確認する。行列自体は順調に進んでいて、何も問題はないが……黒い筐体からは反響して男女の悲鳴が聞こえてきて、中で何が起こっているのか想像もつかない。

「……何かしらね、今の悲鳴」

 どうやら里香にも聞こえていたらしく、不審げにその黒い筐体を眺めていた。このゲームセンターの歓声の中、反響があるにせよここまで聞こえてくるとは、はっきり言って異常である。

「次の方、どうぞー」

 知らず知らずのうちに身構えていた俺たちは、店員のその声でハッとなるが、自分たちに向けられた声ではなかったらしい。自分たちの前に並んでいたカップルが、目の前の黒い筐体へと入って
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ