第八十三話
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意分野に入るモグラ叩きで勝ったところで、誇るどころかかなり空しい。
「ふっふーん。まぁた連敗記録伸ばしたいの?」
「言ってろ、今日は勝つ」
そんな根拠のない自信を漲らせながら、里香とともに階段を上っていくと、記憶通りに寂れたゲームセンターがある。自動ドアを開けるとともに慣れない音が解き放たれ、少々うるさいと思ってしまうが、ここはそういう場所なのだから、と我慢する。
「まずは何で翔希をボコボコにしようかしら〜……って、何かしらアレ」
「ん?」
何やら物騒なことを言っている里香の視線を追ってみると、確かに見慣れない物がゲームセンターの中に鎮座していた。大型の箱型の機械のようで、一つだけ中に入るためであろう入り口がある。少なくともレトロゲームではないその外見に興味を惹かれ、俺と里香はその箱型の機械へと向かっていく。
「《Dead and Dead》……?」
そのゲームの名前か、少し人が並んでいる筐体には、そんな物騒な名前がデカデカと掲示されていた。
「あ、雑誌で見たことあるわよ、これ! 確か……完全現実、とかいう」
「へぇ……」
完全現実。様々な意味で自分たちに縁がある、あの仮想世界とは違うゲームなのだろうか。それ以上の情報は里香も知らないらしく、結局興味を惹かれた俺たちは、これも何かの縁だと行列に並ぶことにした。休日とはいえ時間もまだ早く、行列とはいえあまり人の数は多くない。……並んでいる人間に、男女二人組が多いのは気になるところであるが。
「んー……今調べ直してもいいんだけど。ま、事前情報なし、ってのも悪くないでしょ」
里香がそう宣言しながらスマホをしまい込み、ワクワクした表情で順番を今か今かと待っていた。……この行列に待たされている間に、今日はどうしたのか聞くつもりだったが――その楽しそうな表情に免じて、今はやめておく。
「そういえば、ALOの方はどうだ?」
代わりにふと思いついたのが、やはり俺とキリトがいなくなったALOのこと。いなくなった、とはいっても数日間のことで、それをわざわざ聞くとなると……なんだか自意識過剰なようだが。主に里香と行く約束があったにもかかわらず、今回の死銃事件を優先してすっぽかした、新しいクエストのことは気になっていた。
「ああ、新しいクエストなら珪子に直葉と行ってきたわよ? 誰かさんが約束すっぽかしてくれましたからねー」
「うっ……」
ジトー、という擬音が相応しいような目線に、俺はたまらず目を背ける。その間に里香は悠々とスマホを取り出すと、俺と違って慣れた手つきでスマホを操作していた。
「でも、そのクエストで新しい友達が出来たの。はいこれ、スクショ」
《アミュスフィア》から撮った写真をスマホに移し
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