エピソード37 〜試練 その1〜
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私こと、叢雲 翠……、いや、帝 光はとある理由からオシリス・レッドの寮まで足を運んでいた。
私たちがプロである事が公にされ、数日と経ってないのであまり人に会わない方がいいのだが今回だけは仕方がない。
なにせ、"魔王"に挑む"勇者"に試練を与えに行かなければならないからだ。しかも、私自ら。
「うーん、十代君達が勇者ポジなら、私は囚われの姫?いや、それなら戦わないか。じゃあ、啓示を授ける女神的な……?」
寮へと向かう道中、一人ボソボソと呟ていると、無償に人が恋しくなる。
いつもなら、隣にアテナが居て話し相手になってくれるのだが珍しく用事があるらしく、今日は居ない。
若干の淋しさを感じつつ、歩いているとようやく森を抜け、断崖絶壁に立つオンボロ寮が見える。
『クリクリ〜!』
「ん……?」
ふと、声のした方角を向けば茶色いボールのようなモノがこちらへと向かい飛んできていた。
一瞬、空飛ぶ毛玉と色めきたったが、どうやら『ハネクリボー』の精霊らしい。そして、この子が近くにいるという事は……。
「お〜い、相棒〜!どこ行くんだよ〜……って、紫苑の姉ちゃん??」
「ハロ〜、十代君」
案の定、目的の人物である遊城 十代君もついてきた。
なんでアンタがここ??と目をむいて驚かれ、若干凹むがいまはそんな事で時間をとっている暇はないので、とっとと本題へと入る。
「ねぇ、十代君、少し暇かな?」
「まぁ、暇だけど?お、もしかしてデュエルか!」
「有り体に言えばそうだけど……」
私が言い終わる前に瞳を輝かせ、やったぜ!とはしゃぐ十代。どんだけデュエルが好きなんだか。
「おーい、兄貴〜!突然、どこに行っちゃ……、光プロ??」
「……あちゃー、ギャラリーが増えたか」
十代君の事を追いかけて来たと思われる翔君が私の事を見るなり、昼間にお化けでも見たかのようなリアクションをされる。
ちょっとと言わず、だいぶ凹む。
ついでに言うと彼とのデュエルは内密に済ませたかったので観戦者ができてしまった事を残念に思う。
「な、なんでこんな辺鄙なとこに、い、居るんすか?」
「お、翔!いいとこに来たな!今から紫苑の姉ちゃんとデュエルだ!」
「ええええ!?前、僕と兄貴で組んでボコボコにされたばっかりじゃないすか!」
なかなかオーバーなリアクションの翔君とは対照的に楽観的な十代君。
なるほど。紫苑が言うとおり、いいコンビだ。
そして、十代君の方に視線を向ければ早くデュエル!と視線のみで訴えかけてくる。
「うーん、十代君。デュエルはするんだけど、あんまり目立つ場所でやりたくないんだよね」
ほら、立場的な問題で……?と続ければ察してくれたのか相
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