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インフィニット・ストラトス if 織斑一夏が女だったら
最終話《『 』》
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だんだんと、暖かい光が近づいてきた。

一歩、また一歩と、進む度に昔のことを思い出していく。

政府からの援助に頼った生活。

下手なお姉ちゃんの料理。

『私』が問題を起こす度に、一緒に謝った。

いっしょに稽古をした。

喧嘩もした。

笑った。泣いた。怒った。哀しんだ。

辛いときもあった。でも、一人じゃなかった。だから、楽しかった。

『私』の伸ばした手が、お姉ちゃんの手に触れた。

光が、『私』を優しく包み込む。

いっしょに手を繋いで歩いた河川敷。

『私』はただ、何でもない日常がほしかった。

豊かな生活なんて要らなかった。

こう言えば、綺麗事に聞こえるかもしれないけれど。

ただ、それ以上に一人になるのが恐かった。

『私』の闇が、音を立てて崩れた。

胸に空いた穴が、ふさがった。

『私』はもう、ISの影でしかない。でも、最期に、お姉ちゃんを救いたい。

いろいろな感情が喉まで込み上げてきた。

謝りたかった。感謝したかった。怒りたかった。嬉しかった。

でも、『私』の影はまず、「ただいま」と、精一杯の明るい声で、お姉ちゃんに抱きついた。

球が急速に縮まった。

二つの影は、まだ胸に穴を開けたまま。

でも、今、『私』に出来ることは。私の時間を稼ぐこと。

*

スコールは、ただ気にくわなかった。

自分の子どもが、自分より他人になついている。

自分だって頑張っていた。誰よりも頑張っていた。

愛も与えた。これ以上ない愛を。

なのに、自分からは離れていくだけ。

夫も。アリアも。

でも、自分は頑張った。

ならば、悪いのは自分ではない。

悪いのは、他のやつらだ。

スコールはまず、千冬のそばの影を壊すことにした。

アリーナの客席であった瓦礫から観察していたスコールが、動き出そうとしたとき。

一番小さい影が消えていることに気づいた。

一番小さい影は、スコールの隣に座っていた。

「・・・なによ。あんた」

小さい影はゆっくりと。

スコールを見上げた。

『お か あ さ ん』

聞き覚えのある声に、嫌気がさした。

「ふざけんな。私に餓鬼なんていねえんだよ」ヒステリックになり、叫んだ。

全てが嫌だった。私を裏切った夫が、私のことなどなにも知らない子どもが。

叫びながら高熱火球『ソリッド・フレア』を影に打ち続けた。

もうなにも要らなかった。一人でいた方がよかった。

影が球を発生させていることに気づかず、火球を打ち続けた。

小さい影は、スコールが球に飲み込まれる時。呟いた。

『産んでくれて、ありがとう』

球が消え
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