暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
翔べない鳥の翼
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言っとくが、衝撃の緩和とか期待すんなよ!」
 「っわ ……っ」
 ドンッと地面を蹴って飛び上がる。
 なんだろうこれ。物凄く高い。二階建ての家とか余裕で足下に小さく見える。遠くに街とか山とか川とか……
 ええ? 此処は何処?
 「ベゼ……」
 「口開くな。舌噛むぞ」
 ぶわっと飛び上がったと思ったら、今度は急降下!?
 って、これはもしかしなくても跳躍!?
 ただの跳躍なのですか、ベゼドラーッ!?
 「…………ッッッ!!」
 ベゼドラの背中にしがみ付いて衝撃に備える。
 柔らかな物が無い世界でそれは自爆行為だと思いながら、目蓋をきつく閉じた。
 着地の瞬間、音が殆ど無いのに内臓を撃つ振動がベゼドラを通して伝わり、凄まじい吐き気が襲ってくる。
 たった一度の跳躍でこれって、どういう生物なのか悪魔。
 「……痛って……ぇ……!」
 ベゼドラが震えている。
 「お前、重い!」
 それはそうでしょうね、と思っても言葉にする余裕は無い。口を開いたら待っているのは惨劇だ。
 すみません。今ので限界振り切りました。
 「どわ……っ」
 着地点の雪にベゼドラの足が脛まで埋まった。
 此処は先程の村を遠く眺める雪山の中腹。歩きなら軽く半日は要する距離だ。
 凄い。悪魔凄い。
 「体力無し」
 雪に座って(しばら)く休んでからベゼドラに肩を担がれ、ゆっくりと東方向に歩き出した。
 「……体力の問題……ですかね……?」
 世界に時間の流れが戻った。レゾネクトは何故か追って来ない。
 村が近くに在ったから逃げただけで、どれだけ距離を置いても彼なら一瞬で現れるだろうと覚悟していたのだが。
 来ないなら来ないで助かります。
 会いたいのはロザリアであって、貴方ではない。
 「でもこれで、私の仮定は現実に一歩近くなりました。この宝石は……どうやらこの本も、アリアに繋がっているらしい」
 レゾネクトが現れたのが良い根拠だ。遭遇したくはないが、彼もアリアに繋がる道の一つ。彼の言動は大きな手掛かりになる。
 「褒めろよ」
 「……本を持ち出した事ですか?」
 そんな、得意満面に泥棒行為を誇られても。
 溜め息を吐いて、本を持った手で頭を撫でてみる。鬱陶しそうに払い退けられた。
 ロザリアに撫でられるなら喜びそうだな。
 「とにかく、宝石や歌について考えながら東へ向かいましょうか」
 「ああ」
 水色の光が示す先にアリアが居れば嬉しいのだけど……。


 「!」
 二人の姿が一瞬で消えた。そう見えた。
 ベゼドラだけならまだ解る。だが、ただの人間が瞬時に消えるとはどういう事だ。
 辺りを見回すが、足跡が増えている様子もない。
 「アリアか? 違うな」
 消える寸前、クロスツェルの周りを虹色の光が覆っ
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