翔べない鳥の翼
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は間違いないでしょう」
「だから何だ」
曲がりなりにも神代に生きていた経験豊富な悪魔だろうに。
落ち着いて物を考えられない今の自分よりも鈍いのか。
「確実とは言えませんが、あの光はアリアを指している可能性があります。そうでなくても、アリアが所持している、もしくは昔所持していた物品か、アリア本人と深い関係がある場所を示したのかも知れない。急がなくては、見失ってしまいます」
「可能性? かも知れない!?」
「言いたいことは解りますが、フィレスさんを絞め上げても結果は同じだと思います。彼女の意思の強さは、貴方のほうがよほど理解できている筈だ。違いますか? 悪魔ベゼドラ」
ベゼドラは、急所を射抜かんばかりの殺意溢れる瞳で自分を睨み。
舌打ちしながら、積もっている雪を蹴り上げた。
「あの歌にも、アリアに通じる何かしら重要な意味があるのでしょう。所々気になる言葉が混じっていましたし。貴方は聞き覚え」
「知らん!」
「…………でしょうね」
この様子では、何を言っても尋いても、まともな答えは返ってこないな。
思案を放棄して、ロザリアだけを想っているのだろう。
うらやましいほどに愚直だ。
そうしていてロザリアに会えるなら、自分もこんなに悩まないのだが。
「なんだ。貴様らか」
「……………… え!?」
突然。
本当に突然、目の前に黒い人影が現れた。
さらりとした金色の短い髪、吊り上がり気味な紫色の双眼。
引き締まった体の線に沿う黒い上下服に、黒い靴。
教会で自分達を殺しかけた後、アリアと共に姿を消した、悪魔の王。
「レゾネクト!?」
ベゼドラの手が瞬時に自分の腕を引っ張って、背後に庇った。
力の加減ができなかったのか。
振り回された勢いで転びそうになるのを、なんとか堪える。
と同時に。
寸前まで自分が立っていた場所で、レゾネクトの手の残像が走った。
「ボサッとしてんじゃねぇぞ、クロスツェル!」
いえ、見えませんから。
普通の人間に、あんな素早い動きは絶対追えませんから。
「神父と二人で仲良くアリアを追いかけてきたか。悪魔としては減点だぞ、ベゼドラ」
「悪魔に採点などあるのですか? ベゼドラ」
「アホか。余裕こいてくだらねぇ話に乗ってんじゃねえ。殺されるぞ!」
そうは言われても。
愉しそうに微笑む悪魔を見れば、確かに危険だとは思うのだが。
殺されかけた記憶のせいで、圧倒的な力の差を自覚してしまっている。
調理台に乗せられた魚の気分だ。
諦めて命を差し出すつもりは毛頭ないが、笑うしかない心境に近い。
「安心しろ。神父はまだ殺さない。アリアがそう願っているからな。だが、その『結
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