九校戦編〈下〉
九校戦十日目(2)×本戦決勝トーナメント戦一高対九高と師族会議からの通達
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ドライ・ブリザード』のようだな。七草会長が早撃ちの時に使った魔法の原型に過ぎんが、空気中の二酸化炭素を集めてドライアイスを作ってから、凍結過程で余った熱エネルギーを運動エネルギーに変換してドライアイスを高速で射出する魔法だ。気温が高い程弾速が増す」
「ヘルメットを着けているので指先で摘まめる程度の礫で大怪我する事はありませんが、何発も続けて同じ所に命中させれば軽い脳震盪が起こります。なので戦闘不能を意味しますから、相手選手の一人が頭上に三人をカバーする魔法シールドを展開したようです。落下速度をゼロにする仮想障壁ですが、私ならシールドビットにより防ぎますね」
選手が張ったシールドにより、速度はゼロにしたものの空中に静止した後はそのまま重力に従って落下する。ドライアイスは周辺一帯の空気をも凍らせる事で、水蒸気を凝結させて霧雨が降り注いだ。地上から選手上まで上昇したまま、石灰岩の上まで行った事で霧雨は二酸化炭素を吸収して炭酸ガスを溶かし込んだ霧となった。この霧によって、九高陣地一帯から中々拡散する事も出来ないまま別選手がドライ・ブリザードの副産物を吹き払おうとした。
だがそれよりも速く魔法発動させた服部は、土砂粒子を細かく振動させる事で生じる微弱な摩擦電流を土砂の電気的性質を同時改変する事により、増量し地表に放出する術式。これは新人戦八高が使ってみせた電子強制放出と同種魔法だが、種類は同じでも威力と洗練度が桁違いとなる。
九高の魔法防御の境界線をなぞるような三日月型に、幅五メートルにも及ぶ地面発光によって、電光が無数に絡み合って明滅する事は無いがまるで蛇のように回り押し寄せる大群。
「砂混じりの地面も疎らに生えた草や無造作に転がっている岩も、二酸化炭素が溶けたお陰で導電性が高まった様子だな。防衛戦の外側に電気の蛇は、魔法に関係なく地面を伝わりながら九高選手を襲うコンビネーション魔法である『這い寄る雷蛇(スリザリン・サンダース)』だな」
「コンビネーション魔法?」
「複数の魔法工程を一つの術式に纏め上げた魔法ではなく、複数の魔法がそれぞれに生み出す現象に組み合わせた個々の魔法総和よりも大きな効果を生み出す事が出来る魔法技術の事だ。飛び抜けて強力な得意魔法も他の追随を許さぬ処理速度も、他人の真似など出来ないマルチキャストも持たない代わりに多種多様な魔法をどんな場合でも確実に繰り出す安定性が服部副会長の持ち味だと推測する」
その強みでもあるが、状況に応じた多種多様な魔法を組み合わせて威力を高めるコンビネーション魔法は服部の真骨頂が最大限に発揮された技術とも言えた。九高三人の内の一人が、空中へ跳び上がって電流から逃れた様だ。
シールドを張っていた選手は、跳躍魔法に切り替えようとしても一歩遅かった。電光が九高選手の足に絡
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