暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
ALO編
第139話 兄妹
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この間の脱走の件をも忘れる程、上機嫌で出て行った。

「キリト君……っ リュウキ君……っ」

 決して諦めない。頭の中ではずっと、そう思っている。それはきっと、玲奈も同じだろう。……判る、だってあの世界でずっと一緒に頑張ってきたのだから。一緒にいた時間を考えたら、それは互いの想い人、愛する人よりも長いから。

「信じてるから……」

 明日奈は、この牢獄から下界を見下ろし、そう呟いた。……ここに、キリトの声が聞こえてきたのだ。だから、自分の事を知らせる為に、あの脱出する際に手に入れたカードキーをこの場所から落としたのだ。
 生憎、メッセージ等は残せなかったが、キリトなら気づいてくれると信じて。そして、きっとリュウキも傍にいる筈だから。それも、何処かで確信していた。


 自分達が《双・閃光》である様に、彼等は《白銀と漆黒》なんだから。







〜央都アルン・上空〜



 翅を使いこの世界樹の上に昇る事は不可能だと悟ったドラゴ。……ここのシステムは、かなりしっかりしており、穴が視えない。無理矢理無視するような真似は、短時間では間違いなく不可能だ。

「……グランド・クエストしかないか」

 ドラゴは、再び翅を鋭角に畳み、アルンの世界樹の根本に向かって急降下していった。風を切り、雲を切り……空を切る。その速度は、空に軌跡を残しながら一気に地上にまで降りていった。

 数秒もしない内に、目的地である世界樹の根本へとたどり着く。その場所は、アルン市街地の最上部。巨大な円錐形を成しているアルンの町の表面を這い回る世界樹の根が見えてくる。そして、その根が続く先に、プレイヤーの10倍はあろうか、という身の丈の妖精の騎士を象った彫像がまるで、入口を守るかの様に佇んでいた。

 間違いなく、あの場所が世界樹への入口であり、この世界のグランド・クエストの開始点だろう。ドラゴは、それを確信して、更に近づいた時だ。その場所に2つの影があった。

 全体的に、黒い者と緑の者。

 姿をはっきりと見たわけじゃないが、キリトとリーファだと言う事は理解出来る。あの場所に用事があるのは、自分だけじゃないのだから。

「……一先ず、合流だな」

 ドラゴは2人のいる場所付近を目掛けて降り立つ姿勢を取る。いきなり、上空から声をかけるのは、驚かせてしまうかもしれないから、少し離れた所で着地をすると、早足で2人に近づいていった。間違いなく、キリトとリーファの2人だ。

 ……だが、何処か様子がおかしい。

「待たせたな……、ん?」

 ドラゴは、様子がおかしいと思いながらも声を掛けた。……その時だった。リーファは、口元に手を当てており、その目はキリトを見据えて、目を見開いていた。まるで、大変なモノを見
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