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ソードアート・オンライン〜Another story〜
ALO編
第137話 眠れる少女達
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 そして、その後……母親は夜勤帰りと言う事もあり、寝室で爆睡中。故に2人で朝食の準備に取り掛かっていた。これが朝の日課でもある。

「お兄ちゃん、今日はどうするの?」

 直葉は、和人にそう聞くと、腕を組んで少し考える。

「うーん、昼過ぎからちょっと約束があるんだけど……、午前中は病院に……かな」
「そう……」

 明日奈の傍に一日おきに行く。それは、和人にとって最も重要な習慣となっているのだ。現実世界では、あの世界の様にしてやれる事なんか何もない。……無力だと言っていい。それでも、彼女の手を取って祈る。出来るのは、それだけだ。

 あの男……須郷伸之には遠慮願いたいと言われているが、そんな言葉を聞き入れる筋合いはまるでない。あの男の顔を見るかも知れない苦悩と明日奈の顔を見に行く事を考えれば、天秤の対にすらならないから。

 今思えば、あの世界……アルヴヘイムでアスナの写真を見せられ、勢いに任せて飛び込んだが、それが アスナである確証はないし、また迷走をしている可能性だって大いにある。

――……それでも、あの世界には何かがある。……それは確かだと思う。

 和人の脳裏にはそれが強く……強く浮かんだ。須郷は、明日奈が眠り続ける事を望んでいる。そんなヤツの息がかかった企業で運営されている世界。

 更には、あの世界はSAOサーバーのコピーだと言う事は、彼女……ユイが証明している。あの世界で、ユイの姿がSAO時代そのままに現れた事、そしてアバターは違うものの、旧キリトのデータが存在した事もそうだ。

――……そして、何よりもあの世界に導かれたドラゴの存在。

 彼が何を思い、あの世界へと足を踏み入れたのか、なぜ 自分の様に初心者でありながら、あれだけのスキル・ステータスなのか。前者は判らないが、後者は明らかだった。……アミュスフィアにナーヴギアの記憶媒体を挿入してプレイしたからだと言う事だ。リュウキと言う名を使ったと言う事実を認めたし、ユイがそれを見抜いた事を考えたら、間違いないだろう。


 SAOのコピー。引き継がれたスキル・ステータス。……そして、ユイとリュウキ。


 それらが、まるでパズルのピースの様に組みあがって、1つの解を示そうとしている、と和人の頭の中ではイメージをしていた。

――……ユイと再び出会えた。

 奇跡が起きたんだ……とキリトは想い、涙を流した。

――……そして、消息不明だった、ずっと探していた親友とも出会えた。

 そんな奇跡があの世界でたて続けて起こったのだ。だから、アスナの事も……きっと、きっと、そう強く思ったのだ。今日の午後にALOの定期サーバー・メンテナンスが明け次第、再びあの妖精の世界へと赴く。いよいよ問題の世界樹へ挑む。

 その想い
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