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ソードアート・オンライン〜Another story〜
ALO編
第137話 眠れる少女達
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声をかける和人だったが、直葉は珍しく自分同様、半民半覚醒と言った様子でフラフラとしていた。……落ちるなよ?と一瞬思ったがそれは大丈夫そうだ。
「おはよー、お兄ちゃん」
直葉は、手を軽く上げて答えたから。
「やけに眠そうだな。昨日は一体何時に寝たんだ?」
「うーんっとねー、4時……くらいかな?」
「だめだぞ、子供がそんな夜ふかししちゃ、何してたんだよ」
「えーっと……、ね、ネット? とか……」
しどろもどろにそう答える直葉。やや、不自然気味に聞こえてきたのだが、話し方よりもその内容に和人は少々驚いていた。体育会系まっしぐらな彼女が、ネットで夜更かし……は、当初であれば考えられないからだ。いつもいつも、決まった時間に部活の朝練。部活がなければ自主練。そのイメージが強いのだけど……、これが成長なのか?と感慨が湧いてくる。
「ほどほどにしとけよ。……まぁ、俺も人のコトは言えんけど」
後半は、誤魔化すように呟く。自分もあの世界へとダイブしていた為、同じようなものだから。
そんな時だった。
和人は、昨夜の記憶を揺り起こし、目の前で、ウトウト、フラフラとしてる直葉を見て悪戯心が沸き起こってきた。それは、あの世界で彼女にした事を思い出して。
「おいスグ、後ろ向いてみ?」
「えー……? なに? お兄ちゃん」
「良いから良いから、ほら、向こうだって」
「ん? こう??」
半分眠っている為か、僅かながら動きが鈍い。それでも、後ろをぐるりと身体を捻ったところで、和人は行動を開始。右手を蛇口に伸ばしてたっぷりと濡らすと、ひょいっと直葉のジャージの襟首を引っ張り、無防備な背中にあの突き刺さる様に冷たい極低温の水滴を盛大に背中の中へ投下!
それは、刹那の時間。
一瞬なにが起きたのか?と背筋が一気に伸びる気がした。
僅かながら遅れてきた感覚神経が、脳へと伝わるその隙間で混乱していた直葉だったが、即座に、考られなくなり、声が飛び出してきた。
「ぴぁ―――っ!!」
――……朝の覚醒してない、頭には丁度いいだろ?
盛大に悲鳴をあげている直葉の傍らで、和人はニヤリと笑って彼女を見ていたのだった。
その後、ストレッチ、そして酢ぶりのメニューをこなす間にも、直葉は先ほどやられてしまった不意打ちを思い、ぷくーーっと頬が膨れ上がっていたが、和人は今度近所のファミレスで美味いパフェを奢る約束をすると、あっさり上機嫌になった様だ。色気より食い気と言うのはまさにこのとおりだろう。
「……お兄ちゃん、何? 今、失礼な事思わなかった?」
「はは、思ってない思ってない」
宛らエスパーの様に思考を読んだ直葉だったが、即座に和人は否定し、苦笑いをしていた。
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