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ソードアート・オンライン〜Another story〜
ALO編
第133話 再戦の誓い
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ているのに、仕留めきれない。自分が圧倒的に攻めれている筈なのに、嫌な汗が止まらなかった。

「……あの武器の弱点。アイツの武器を振るう速度、圧倒的に遅い事だ」

 ……杖は普通であれば軽量武器だが、それなりに筋力値(STR)を要求されるんだろうか?何度か両方視たが、ジェイドが槍を使う時の速さと、杖を振るう時の速さでは圧倒的に遅い。もう一度、接近戦に持ち込む事が出来れば勝機は十分過ぎるほどある。

「……なら、任せろ! ドラゴ!」

 キリトは背後で、素早く詠唱を始めた。文字がキリトの周囲に湧き出て、光り輝くと、ボン、ボボボン!と、周囲に漆黒のけむりが出現した。それは、まるで意思を持っているかの様に、ジェイドを、そしてユージーンを捕らえて、更に広がる。最終的には、見守っている他の皆の場所にまで続いたのだ。

「ちょっと借りるぜ? リーファ」
「わっ!? き、キリトくん!?」

 突然、耳元でささやき声が聞こえてきた。煙幕の魔法を発動してから、数秒もたっていない。
なのに、リーファの背後にまで来ていた様だ。気配がまるで、感じなかった。……影から影へと忍び寄る様に背後へ。

 影妖精(スプリガン)とはよく言ったものだ。



「煙幕!? 目くらましか!」

 ジェイドは素早く杖を構え、そして振り下ろした。生まれた炎の熱気は、漆黒の煙を上方へと吹き飛ばす。

「時間稼ぎのつもりかぁ!!」

 ユージーンも、その魔剣グラムを振りかぶり、剣で煙をずばっ!と切り裂いた。その風圧により、煙は瞬く間に晴れていく。

 煙幕が晴れた場所には2人の姿は無かった。影も形もなく、まるでこの場から煙と共に消滅したかのようだった。

 空中にいるのは、サラマンダーの将軍と副将の2人。それぞれが、周囲を注視しているようだが、見つけられない。


「まさか、あいつら、逃げたん……」

 背後で、ケットシー部隊の1人がそう呆然と呟いた。その言葉を言い終わらさない!と言わんばかりに、リーファは叫んだ。

「そんなわけないっ!!」

 絶対にそれだけはない、とリーファはそれを信じられた。なぜなら、あの時。あの絶望的な状況の中。キリトは言ったのだから。

『絶対に、自分が生きている内は、パーティメンバーの誰ひとり死なせはしない』

 その眼は、このゲームで遊んでいる者の眼ではなく、生きている者の眼だった。

 それは、ドラゴだって同じだ。あの時、見捨てろと言ったのに、拒否した。その時の眼は、キリトのそれと殆ど同質のものだと判ったから。

「……そんなのは有り得ない。絶対に」

 リタも、周囲を見ながら、探しながら言葉を繋いだ。彼女も、見捨てない、見縊るなと言った彼の姿を見ている内の1人だから。


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