暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
語り継ぐもの 2
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光はやがて小さくなり、石に吸い込まれて消えた。
 また怪奇現象ですかそうですか。
 「……あっちへ行けって意味じゃないでしょうか? 多分」
 袋に戻してクロスツェルさんに手渡すと、二人は顔を見合わせて「昨日のはこれか」とかなんとか言いながら互いに確認し始める。
 「私が任されたらしいのは此処までです。これ以上は本当に何も知りません」
 石入りの袋をじっと見てたクロスツェルさんが、ありがとうございましたと頭を下げて目を細めた。冷静な振りをしてるけど、相当混乱してるな。
 「お気を付けて、良い旅を」
 ベゼドラさんの腕を引いて東に足を運ぶクロスツェルさんを見送り、やれやれと家の中に引き返す。
 これで女性も未練は無いだろう。私も変化の無い日常に戻れて嬉しいです。
 お願い致します、二度と現れないでください、怪奇現象。
 「さて。お仕事に戻りましょうかね」
 自室に戻ってクローゼットから銀色の鎧一式を取り出し、厚手の普段服から無骨なそれに着替え直す。
 この真っ赤なマント、もう少し落ち着いた色調にならないだろうか。都でならともかく、村でこの色彩は無い。派手過ぎる。
 クローゼットの横に立て掛けた細長い剣を腰に下げて、外へ出る。
 今日も、青い空と白い大地が目に痛い。


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