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珠瀬鎮守府
柏木提督ノ章
五文字の伝言
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撃滅しました。残るは戦艦と空母です」
「警備隊の武装及び兵員はどれくらい残っている」
「兵員は負傷者は出ましたが全員戦闘活動の続行が可能です。ですが武装の類は殆どが弾切れの状況です。空母はまだしも戦艦の戦闘は厳しい物があります。ですが」
 続く言葉は容易に推測できる。やれと言われればやります、だ。そういう事だ。彼らは、否、彼らもまた艦娘という英雄達の側で何も出来なかった者達だ。その気持は容易に理解できる。それに、不可能ということはない。敵は厚い鋼鉄と大口径砲という重武装だが、それがない露出した部分には通常の人間と大差ない柔らかさだ。そこに上手く銃弾を当てればいい。勿論、それを行うには相手より先に撃ち初撃で決めるという前提があるが。もしそれを外せば、その何倍もの火力が返ってくることになる。
「空母と戦艦が別れるのを待つべきか、はたまた別の策をとるか」
「分断なら……敵空母に動きあり、敵艦載機射出。数は四……五……六機」
 空母は未だ艦載機を温存していたか。だが、おそらくはこれで最後だろう。
「艦載機空母から離れず付近を飛翔。あ、戦艦と空母別進路を取りながら上陸!」
「上陸位置は?」
「空母は工廠付近、戦艦は指揮所近くです」
 湾内設備破壊に動くか。二手に別れたのは我々を脅威として見ていないのか、他に所以があるのか。
「そちらの位置は」
 尋ねた向こう、警備隊の無線からは銃声が流れていた。
「工廠です。現在空母と交戦を開始しました」
「都合がいい。私は指揮所近くだ。戦艦との戦闘を開始する」
「無茶です! 一時避難を」
「指揮所を一瞬で破壊したこいつは、そのまま内地、非戦闘員の集合場所へ向かうぞ。時間稼ぎをする必要がある」
「そうですが……弾? この銃に入ってる。残り……」
「どうした」
「銃弾の不足が深刻です。空母撃滅には時間がかかるかもしれません」
「では私が戦艦と戦うことに関しては異存はないな。以上通信終わり」
 文句を言いたそうな警備隊の者の通信を打ち切り、その無線をその場に置いた。九九式を両手に携え戦艦の元へと向かう。


 指揮所の近くまで来た時、目の前の一階に砲撃を受けていた指揮所に更に砲撃が加えられた。崩れた建物から大量の粉塵が舞う。
 私にとっては好都合だった。相手の近くまで近づきやすく、少なからず戦艦の砲の内数門は装填作業に追われている。私は粉塵の包まれながら片膝立ちになって粉塵が流れるのを待つ。
 少し晴れたと思った矢先、指揮所の残りの部分が倒壊を始めた。私は音からその場が危険と判断し、殆ど目が利かない中、足の痛みに耐えながら建物から離れた。私の右で倒れた指揮所はその瓦礫の破片を私の足元まで転がした。私はまた粉塵の中片膝立ちで砲撃を加えたと思われる地点に狙いをつけていた。
 粉塵の中、微か
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