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鐘を鳴らす者が二人いるのは間違っているだろうか
27.精霊と神と
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言では妖精は白かったんだろ?あの子は灰色だし、別の妖精かもしれないよ?」
「それはそれで問題だな。妖精は複数いるってことになるし、もしももっといるのなら他人の空似まであり得るぞ……」
「邪悪な感じはしなかったし、別人だと思うけどね」

 その夜――結局全てを白状したティズたちを、ヘスティア・ファミリアは戸惑いつつも受け入れた。
 生活の為に疑わしきに目を伏せたヘスティア。
 疑いと将来の狭間に揺らぎながらも何も言わなかったリングアベル。
 そして――『精霊のお願いで世界を救うなんて最高のロマンじゃないですか!!』と誰よりもノリノリだったベル。絶対に話を理解していないが、だからこそ場が和んだ。

 ベルのおかげか空気はぎくしゃくすることもなく、良好といえる関係のままティズ達は宿へと戻っていった。これから暫く同じように神に会いに行き、総合的に契約先を決定するそうだ。こんな言い方をするのは躊躇われるが、エアリーの存在をあれ以上見せびらかすとは思えないのでほぼ確定だろう。

「女神から見てどうだった、エアリーは?」
「そうだね……この世界や神の持つ理が通用していないのは確かかな。言っていることが嘘か真かは『分からない』というのが正直なところだよ。はい、これバイト先で貰ってきた安いじゃが丸くん!」
「お気遣い痛み入る!女神からのプレゼントともなると、高級レストランの逸品にも代えがたいな!」
「あははは。リングアベルったら嬉しい事言うね!」

 じゃが丸くんを手渡されたリングアベルは、恭しく礼をしてご褒美を受け取る。芝居がかってはいるがいつものことだ。気を落としていようがいまいが、こういう礼儀だけは忘れない。

「さて、エアリーの話だけど………クリスタルの精霊ってのはあながち嘘でもないと思うな」
「そうか……女神が言うのなら俺の分析よりは確かだろう」
「そう自分を下卑することはないと思うけど……さっき『神の理から離れてる』って言っただろ?それ、クリスタル正教の加護とか大結晶も同じことが言えるんだよ。あれは神が作った物じゃないから、クリスタルの精霊が実在するのなら神の理と外れていてもおかしくはないだろう?」

 それに、とヘスティアは続ける。

「例の大穴を塞ぐ術を、神々は持っていない。本当に塞げるというのならそれに賭けるのもまた世界の為だと思わないかい?」
「……そうだな。現状、例の大穴を塞ぐ術はない。日記帳にもそんな話は一つもないが、カルディスラ大崩落の内容は明らかに異なっている」

 日記の情報では大崩落はあくまで自然災害でしかなく、生存者1名などという悲惨な内容でもない。
 瘴気も漏れなければ魔物の狂暴化もない筈の出来事は、既にロキ・ファミリアの調べで世界規模の被害を起こす可能性のある大災厄となっている。

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