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VS《白亜宮》!
《夢仕掛けの神》VS《白亜の女神》
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──


 間違いなく、四聖より、不味い。


「──『(アイ)を。貴方の器を満たす(I)を』」

 それはソーニャが知っている、《白亜宮(彼ら)》の祝詞とは違う。

「『空っぽの貴方が注ぐ愛と同じだけ、貴方にも私の愛を』」

 どこかの世界の管理者(アドミニストレータ)と似通った、でもそれよりずっと優しく、それ故恐ろしい渇望。

「『この身が犯した全ての罪を、貴方への愛に入れ換えて──愛欲と、献身と、私の愛で……お兄様を、満たします』」

 だからそれは、寸分の狂い無く、彼女の祈り。

「『─《惟神》─』

 唯々、愛したいという、願いだった。

「『《色欲(Luxuria-Lust)》』」

 ズアァアアアッ!!!

 何かが、おぞましく、それでいて快い奇妙な音を随え、顕現した。
 それは真っ白い山羊。身の丈三メートルは在ろうかという、魔羯龍だった。背中に生えた翼は、グリヴィネの背中のそれと同じ意匠。鎧に覆われた尾は、まるで蠍の毒尾。

『─────』

 あらゆる言語とはまるで異なる嘶きと共に、

「『淫らに舞え、アスモディオス! 《オーガズム・ブレス》!!!』」

 羯龍の口から、波動が放たれた。

『ぎゃおおぉおあおおッ…………』

 ソーニャによって呼び出された獣達が、その波動がもたらす効果に耐えられずに消滅する。そう、彼らは神の獣。神が『不浄なり』と断じた生理に、従えない。

 即ちは。

「ひぁぁああぁああっ!?」

 オスとして。メスとして。快楽の絶頂に溺れることが。

 ソーニャの身体中から力が抜ける。お腹の底が激しく熱を持ち、快感に反応している事を否応無く伝えてくる。

 もともと人ではなかった身である。が、獣でもなく、妖魔であったことに代わりはない。故に慣れない。快楽に溺れることに、慣れてはいない。

「ぁ、ぅ……」
「んー……私の技って、その人の『愛』が強いと余計に強くなっちゃうんですよね。ってことは、それだけのヒトがいるって事、ですよねー……自分の存在意義、っていうか。その人が居なくなっちゃったら死んでもいい、って思えるくらいの」

 そうですねー、と、彼女は続ける。

「私にとっての、お兄様ですね」

 愛しげに。

「元々、殺戮機械でしか無かった私に愛をくださったのがお兄様です。今の私を創り上げてくださったあの人を……私は愛しています。私の、大切な人です」

 ──大切な人、ですか。

 脳裏に浮かぶのは、まだ一介の妖魔でしかなかった自分に、歌を教えた少年と、彼によくにた鎌使い。

 恋だったのか。愛だったのか。そもそもそんな感情は無かったのか。
 結局のところ、そんなことを夢に微睡
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