9部分:第九章
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話した。
「午後はどうされるのですか?」
「また学園内を見て回ります」
沙耶香は答えた。
「まだ細かく見ていないところもありますので」
チキンカツをフォークとナイフで切りながら言う。なおライスではなくパンを頼んでいた。
「そうなのですか」
「今日はそれで一日を潰すことになると思います」
「まずは下準備ですね」
「そうですね。本格的な捜査は明日からです」
彼女は言った。
「それで宜しいでしょうか」
「朝に理事長も言われましたが」
「はい」
「捜査に関しては全て松本さんにお任せしておりますので。是非それで」
「わかりました。では」
こうして彼女は午後も学園内を見回った。それからまた一通り見回した後で今度は高等部に戻った。細かい部分をもう一度見回していた。
それぞれの部活の部室の前も通った。そこで面白い部を見つけた。
「こんな部活もあるのね」
部室の扉には人形部と書かれていた。沙耶香はそれを見て呟いた。
「一体何なのかしら」
だが細かいところはわからない。一体何をする部活なのか。少しわかりかねていた。
「あの」
ここで右手から彼女に声がかけられた。
「何かしら」
「人形部に何か御用ですか」
そこには高等部の制服を着た一人の少女が立っていた。茶色のポニーテールに大きな瞳を持つ清楚で美しい少女であった。
「用はないのだけれどね」
沙耶香はうっすらと笑ってこう応えた。
「ただ。どんな部活か興味があって」
「人形に興味がおありなんですか?」
「ええ、まあ」
社交辞令でこう答えた。自分が何者かを隠す為でもあった。
「どんなことをしてるのか気になって」
「わかりました、それじゃあ」
少女はそれを聞いて部室の扉の前にやって来た。
「是非お邪魔して下さい。お茶でも飲みながらお話しましょう」
「いいのかしら、はじめてここに来るのだけれど」
「ええ、それでも。人形に興味を持って頂けるのなら」
それでも少女は構わないと言った。そして沙耶香を部室に招き入れた。こうして彼女はその部室で少女と人形について話をすることになった。
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