第1章 光をもとめて
第6話 リーザスの少女達とコロシアム開催
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「……ユーリ、強い」
その戦いぶり、共に戦いつつ、見ていたメナドは思わずそう呟く。自分が1体を倒している間に、ユーリは3体、切り裂いているのだから。
「メナドの方こそ、な。凄いぞ。門番程度で収まる器だとは思えない」
ユーリもそう返す。決して手は休ませずに。
メナドは、何だか嬉しかった。強い人に褒めてもらった事に。それと同時に、悔しさも出てきた。
「(うぅ……、と、歳下のユーリに負けちゃうのは何だか、嫌だな)」
ちゃんと歳を訊いた訳でも無いのに、メナドの中では完全に決まってしまった様だ。
「ね、ねぇ ユーリ」
「ん?」
背中合わせで、戦っている時、メナドはある事を提案していた。
「僕と、勝負しない?」
「勝負?」
「うん。どっちが多くゾンビ達をやっつけるか。ユーリ、とっても強いから、勝負してみたいんだ。……その競争効果で、僕も、もっと強くなれるって思うから」
メナドは、勝負を提案した。どうやら、彼女の中には少なからず 負けず嫌いな所があるのだろうか? とユーリは思い。
「ああ、構わない。……ただ」
「ただ?」
「手加減はしないぞ?」
「っ……、の、望むところだよっ!」
笑みを見せたユーリに、思わず 見惚れてしまいそうになったメナド。だけど、直ぐに調子を取り戻す。
誰かと共に戦っていると言う安心感、そして、負けたくない思いも相余って 自分の実力以上の力が出ている。
「(ま、負けないっ!)」
メナドは 槍を握る力を上げた。一閃の元、斬り伏せていく。この辺りのモンスター達は、2人の敵ではなく、競っているからこそ、全滅は最早時間の問題だと思われていたが。
「……あったかいひと、だぁれ……?」
ある程度のゾンビ達を葬ったその時だ。ゾンビの数が減ったかと思えば……、それは、メナドの前に現れた。苦しげな咆哮をあげていて、これまでよりも遥かに強く、大きなモンスター。
「なっ……!? ゾンビエルフ!? こんなのもきたのか!」
その名のとおり、エルフが死に、ゾンビとして蘇った女の子モンスターだ。ゾンビの強さは、生前のその者の身体能力に比例する。故に、人間よりも強い力を持ったエルフがゾンビになった。……故に、そのゾンビも遥かに強い。これまでのゾンビと比べ物にならない程に。
「ぬくもりを……ちょぉだぁぁい!!」
背中に生えた4本の触腕が伸びる。2本のその触腕は掻い潜り、懐に潜り込もうとしたのだが。
「くぁっ……!!」
残った2本の腕が、メナドの槍を弾いたのだ。なんとか離さずに済んだのだが、それでも無防備な体勢に追い込まれてしまった。
そして、回避した筈の2本の触腕も再び迫る。
「あ、あ、あぁ……っ!」
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