4部分:第四章
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第四章
「実は奇妙な事件が起こっていまして」
「先程のお話ですね」
「そうです。学校から生徒が消えていっているのです」
「生徒が」
「はい、実は」
絵里はここから話しはじめた。彼女が今務めている学校はミッション系の学校であり絵里の母校でもある。長い歴史を誇る女子校であり幼等部から大学まであるという。その学園の高等部で今事件が起きているというのだ。
「失踪ですか」
「そうなんです。それも一人ずつ」
彼女は言った。
「消えてしまって。学校では密かに問題になっています」
「心当たりはありますか」
「いえ」
その言葉には首を横に振った。
「何が何なのか。全くわかりません」
「そうなのですか。では学校側もお困りでしょう」
「ですから貴女に御会いしに銀座まで来たんです」
「そうだったのですか」
「あのバーのあの席でロゼを飲むとやって来るというお話を耳にして」
「ふむ」
ここでまた煙草を口に含んだ。
「行ったんです。どんな不可思議な事件でも解決してくれる方が来られると聞いて」
「そしてそこに現われたのが私だと」
「そうです。お願い出来ますか」
「今ここでお断りしたら貴女は困ることになるでしょうね」
「それはまあ」
何故かここで顔を微かに赤らめさせた。シーツを胸の前で握る。
「こんなことになりましたし」
今しがたの甘美な時のことである。罪とはいえ知ってしまっては何かもどかしくもあった。
「お願いです。どうか」
「報酬は学校側からで宜しいですね」
「それでは」
「はい。引き受けさせて頂きます」
沙耶香は煙草をまたその指に挟んで言った。
「この仕事。必ず解決して御覧に入れましょう。ですがその前に」
煙草を消した。文字通り闇の中にそれを完全に消してしまった。それからまた絵里にその身体を寄せてきた。
「また。楽しみませんか」
「・・・・・・はい」
絵里はこくりと頷いた。そしてまた沙耶香に身体を委ねた。こうして二人はまた甘い罪の世界に入り込むのであった。
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