20部分:第二十章
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第二十章
「確かあの娘の気は」
次に気を探る。
「これね。間違いないわ」
それを見つけた。おもむろにそれを探る。
「教室に部室」
彼女の気の動きが頭の中で描かれる。そして昨日のおおよその動きがわかった。
「家には帰っていないわね。そして」
学校からも出ていなかった。ここで彼女が学校で失踪したことがわかった。
「間違いないわ。学校で消えている」
玲子が学校で失踪したのはわかった。だがまだ問題は残っていた。
「ただ、何処で消えたのかしら」
ここを去り部室に入り、そこから出たところで気は途切れているのである。
「おかしいわね。こんな筈は」
沙耶香はそこに異変を感じていた。
「ないのだけれど。行ってみる必要がありそうね」
ここで彼女はソフトボール部の部室に向かうことにした。そのまま一人グラウンドを後にしたのであった。
ソフトボール部の部室は他の部活と何の変哲もない部屋であった。人形部のそれと何等変わりのない扉であった。少なくとも外見はそうであった。
「見たところ何も変化はないわね」
気もここで途切れているのははっきりしていた。
「中も。何もなさそうね」
気を探ってみる。やはり何も感じられなかった。
「じゃあ一体・・・・・・!?」
探っているとある気を察した。
「これは」
あの時感じた妖気であった。赤紫の気がそこにあった。
「まさか・・・・・・これは」
人形部の部室の前で感じたあの気が。そこにも確かにあったのだ。
「それじゃあまさか」
彼女の中で繋がった。あの妖気と失踪事件にはつながりがあるのだ。今彼女はそれを直感的に悟った。
「それなら」
彼女はすぐにそこを後にした。そして人形部の部室の前に向かう。そこでまた気を探るのであった。
今度ははっきりとしていた。妖気がまだそこに残っていた。
「あの時は」
気は上の方に逃れていた。その気を探る。そして彼女はそれに従い屋上まで出た。するとそこには一個の人形がポツンと落ちていたのであった。
「この人形ね」
まだ妖気が残っていた。それでまた一つのことがわかった。
「あの時妖気の主はこれを使い私の気を逸らした」
沙耶香はまた一つわかった。
「そしてその間に逃げた。私から」
何故逃げる必要があるのか。自分のことを知られない為だ。
「私のことを気付いている。そして若しかしたら」
自分もその妖気の持ち主を知っているのかも知れないと思った。
「だとすれば限られてくるわね」
妖気の主が。今心の中でそれを調べる。
「それにしてもやってくれるわ」
沙耶香はそこに転がる人形を見下ろして口の端だけで笑った。
「こんなもので私をかわすとは。中々憎い演出をしてくれるわ」
だがそれもここまでだと思った。
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