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ダンジョンにSAO転生者の鍛冶師を求めるのは間違っているだろうか
独白
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から)が心底大嫌いだ」

 しかし、椿さんは躊躇うことなく言った。
 その躊躇いのない言葉に黒い球体に中心にまで届く大きなひびが入る。
 そのひびから堰を切ったように粘性の黒い液体が噴きこぼれる。
 それに伴い脳裏を過ぎる光景が怒涛のように数を増やす。
 その光景の多くはあの時のものだ。
 すべての光景が心を深くえぐる。
 見たくない、見せるな、痛い、死にたくなる。
 そんな訴えを無視して刃となった光景が心臓に突き刺さっていく。

 「それは独断と偏見が過ぎないかしら、椿。言っていいことといけないことぐらいわかる分別は持っていると思っていたのだけど?」

 ヘファイストス様の冷めた声が聞こえたけれど、霧がかかったように内容は聞き取れなかった。
 だけど、続けて椿さんの声は何故か鮮明に聞こえた。

 「はっ、主神様こそ過保護ではないか?どれほど大切な仲間を失ったかは知らないが、冒険者になったからにはその覚悟はあったはず。それだというのに、いつまで死んだ目をしているつもりだ!いつまで現実から逃げている!死んでいった仲間が今の此奴(こやつ)を見てどう思うか何故考えぬ!何のために生き残ったのかもわからずにのうのうと生きている此奴が手前は理解できぬ!!」

 「…………だったら…………だったら、どうすればいいんだよっ!!」

 椿さんの怒声についに決壊した黒球から液体が溢れ出し、津波となって押し寄せた激情に俺は叫んでいた。
 頭の中が焼け付くように熱く、何かが焼き切れる音が聞こえたような気がした。
 真っ赤になった視界全体に仲間の死に際が映る。

 「俺はリーダーなんて器じゃなかった! だから皆を死なせてしまった! それぐらいわかっている! だったらどうすればよかったんだよ!! こうして一人だけ生き残って!生き恥を曝して!だけど、生きてって言われて!俺はどうすればいいんだ!! 俺の所為で皆は死んだんだ!! 俺に対人戦の経験がなかったら死んだんだ! 俺が強くなかったから、皆は死んだんだ!! それなのに生きろって言われたってよっ!!! どう生きればいいんだっ!!! 思い出すと死にたくなるから俺は何もかも忘れたっていうのに!! 冒険者になれば同じことを繰り返すからってならずに!!俺は少しでも許されようと鍛冶師になって!!武器作って!! 無意味だっていうのによっ!! 人を避けているのもそうだ!! あのギルドだって知らぬ合間に集まってきた皆でできたんだ! そんな仲間だけど! 一緒にいたら楽しくて!だからずっと一緒にいたいなんて思ったから! 思ったから皆死んだんだ!! 俺は、俺は皆のいるところに行きたい…………クリアできたら会おうなんて、付き合おうなんて言っていたあの時に戻りたい…………死にたい」

 だけど、死ねない。
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