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ダンジョンにSAO転生者の鍛冶師を求めるのは間違っているだろうか
独白
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わかった。
それを見ている俺はヘファイストス様に『違うと思ったなら別の
派閥
(
ところ
)
に行きなさい』と言われて、『いえ、ここでいいです』と
何
(
なん
)
にも考えずに言ったっけ。
その時のぽかんとしたヘファイストス様の顔ははっきりと覚えている。
「もしかして、鍛冶ができなくなるから、迷っているの?鍛冶なんて片手間にしているヒロキが?」
そのヘファイストス様が
靄
(
もや
)
の外から語気を強めて言う。
なんだ、気付いていたんじゃないか。
あれだけ精が出てるわねとか言ってた癖に。
「俺は何で鍛冶師になろうと思ったのでしょうか?」
俺は何故鍛冶師になったのだろう。
何故冒険者の道を切り捨てて鍛冶師になったのだろう。
密度の濃い一寸先も見えなくなった靄の中の俺は何も見えず、何もわからなかった。
「そんなこと私に訊かれても困るわ」
突き放すようにヘファイストス様が言った。
固体になりかけている靄の中だからだろうか、俺の耳に入る外界の音が阻害されてぼやけてきた。
それは当たり前だ。
俺自身がわからないのというのに――神とは言えど――他人がなんでわかり得るのだろう。
と、思っていると
「だけど、そうね。関係があるかはわからないけれど、あなたに感じていることを言っていいかしら?」
と、ヘファイストス様は続けた。
何だろうか、出し抜けに。
「ええ、いいですよ」
俺は靄の中から言った。
果たしてヘファイストス様に自分の声が届いているだろうかと心配したけれど、
「なら、言わせてもらうわ」
届いていたようだ。
「あなた、人を避けていないかしら?」
と、言われて、
胎動
(
たいどう
)
するように靄が揺れ動いた。
「それは、当たり前でしょう?秘密を隠すためにできるだけ人を避けているのですから」
それを感じながら、訊いた。
「それとは別に、あなたは人を避けている理由がある、と言いたいのよ」
ヘファイストス様はまるで俺がそう答えることはお見通しであったように俺が言い終わると同時に言った。
「入団して一週間もしないうちに、一人で宿とって寝泊まりしはじめて、ホームには一切寄り付かなくなったわよね。それに、普通は冒険者依頼で素材を集めるところを、ヒロキは自ら集めてくるでしょう?」
「それがどうしたのですか?」
俺はヘファイストス様が言わんとしていることに薄々気付きながら訊いた。
「可笑しいじゃない?だって、ホームに寄り付かないなんて、逆に怪しまれるでしょう。ホームにいても他の鍛冶師から鍛冶のことで何か訊かれることはないのにね」
…………確かにそうだ。
個人の技術が漏洩しな
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