第1章 光をもとめて
第5話 桃色の巨凶
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自分に自由が利かないのだから、ユーリが何かを話しているはずも無いだろうと結論をつけた。そして、頭の中で悪態をつくがまるで反映する事は無かった。
『……この件、ホーネット派の連中は知っているのか? ここにいるの事を……、不可侵条約をしている以上は奴等はこないだろうが。……ケイブリス派の事もある、か』
(だーかーらー! オレ様を元に戻せ!!)
『ふむ……、まぁ 今は大丈夫……だろう。……とにかく今は、な』
(もーーどーーーせーーー!!!)
『……この状態でここまで思い叫びを続けるのもある意味凄いな。流石は候補、バグと言った所か……』
ランスはただ只管叫ぶ!(頭の中で。)
それが止む事は無かった事に声の主も思わず苦言を漏らしてしまっていたようだ。異常現象の前に、ここまで保っていられるのも凄い。が、それも終わりとなった。
“きぃぃぃぃ………。”
再び世界は時を刻み始めたのだから。
「だぁぁ!!! 元に戻せーーー!!!」
「うぉっ!!! 今度はいったいなんだよ いきなり横で叫ぶな!」
「うぉ? おお、戻った!! なんだったんだコラ! 今のは!!」
「だから、なんだっつーんだよ! いきなり!」
突然暴れだしたランスに思わず同じような大きさの声でツッコんでしまうユーリ。
――……今は潜入中だと言う事を、忘れてませんか? お2人さん?
そして、暫くはランスは騒がしかったが、ユーリに宥められ一先ず落ち着いた。納得いかない様子だったが、まだまだする事は山ほど。
そして問題山積みだ。
リーザスの事もそう、だが、それよりも先ほど出会った少女の事だ。あの異常な殺気と死を連想させる不穏な気配を纏わせた少女。過去の経験を思い返しても、一番死ぬ思いをした時でさえ、天秤にかければ、軽い。
一体何者なのだろうか、と思わずにはいられないが、この場から離れる事が先決とユーリとランスは足早に後にした。
その後も、ユーリが思い浮かべるのはさっきあったあのピンクのロングへヤーの少女の事だ。色はシィルと同じだが、髪質はモコモコじゃなく、さらりとしたロングへヤー。外見こそは可愛らしく大人しそうな少女なのだが……。
(あれ程の気配の持ち主か……。あの世界で出会った≪彼女≫も凄まじいが、これ程じゃなかった。死を意識したのは久しく無かったな。遠い昔に《奴等》と出会ったとき以来……か)
ユーリはその記憶の深層域を思い出していた。
薄れているが、苦痛の記憶。闇の記憶と言ってもいいもの。
(……今はそれどころじゃない、か。今後の事を考えないとな)
ユーリはそのまま立ち上がると、カジノの女性店員に話しかけ、飲み水を頂いた。
落ち着かせ、考えを纏める為に。
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