15部分:第十五章
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第十五章
「まるで巨人の星ですが」
「また古い漫画を」
「あの漫画は好きではないのですがね、私は」
「そうなのですか」
「巨人は嫌いなので」
そしてこう述べた。
「あの様な連中には嫌悪感しか湧きませんね」
「はあ」
「あのチームが負けるのを見るのが楽しいのですよ。その為に家は読売新聞です」
「そこまでお嫌いなのですか」
「先生はどうなのですか」
「私はヤクルトファンなので」
これは合っていると思った。
「巨人は敵ですから」
「それはいい」
沙耶香はそれを聞いて我が意を得たと思った。
「私は愛する人にはあまり多くは求めませんが巨人ファンだけは嫌なのですよ」
「そんな」
絵里はそれを聞いて頬を赤らめさせた。昨夜のことを思い出したのである。
「貴女が巨人ファンでないと御聞きして何よりです」
「他には何を求められますか?」
「他は別に」
求めはしないと言った。
「ただ。美しければ」
そして二人で理事長のもとに向かった。昨日の報告をする為であった。
「昨日は見回られただけですか」
「はい」
昨日のことを素直に話した。ただし真由子とのことは絵里にも理事長にも内緒である。
「その結果何かおわかりになられたでしょうか」
「とりあえず頭の中にこの学園全体の地図は入れました」
沙耶香は述べた。
「何処に何があるのかを。そして今日から本格的な捜査に入らせて頂きます」
「わかりました。ではお願いします」
「そのうえでお願いがあるのですが」
「お願い?」
理事長はその言葉に反応した。
「何でしょうか」
「その失踪した生徒達のことです」
沙耶香はまた述べた。
「詳しい資料を頂きたいのですが。宜しいでしょうか」
「それぞれの個人に関するものですか?」
「そうです。宜しければ拝見させて頂きたいのですが」
「わかりました」
理事長はそれに頷いた。
「ではお渡しします。今回のことは全て貴女に一任させて頂いておりますので。ただ」
「わかっておりますよ」
沙耶香は理事長の危惧に応えた。
「個人情報ですので。外には・・・・・・ですね」
「そうです。それだけは慎重にお願いします」
「わかりました。では」
失踪したそれぞれの学生達の資料を受け取った。そして教会の裏のあの当直室でそれを読みはじめたのであった。その結果あることがわかった。
「成程」
見れば失踪したのは美しい少女ばかりである。いずれも沙耶香が食指を伸ばしそうな少女ばかりであった。
「勿体無い。これ程の花達が」
彼女は資料を見ながら呟いた。
「消えてしまうとは。どうやら犯人は許し難い罪人のようね」
他のデータはバラバラであった。資産家や地位のある者の娘もいればそうでない者もいる。もっともこの学園
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