エピソード36 〜騒動の収束〜
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……」
涙に潤む姉ちゃんの瞳を見て、申し訳なく思う。何も言えず、何も出来ず、俯いているといつの間にか姉ちゃんが側まで来ており、背中に腕が回され、抱きしめられる。
「紫苑が、どっか行っちゃう思ったんだからね……!」
「……ごめん」
「……まだ紫苑も子供なんだから、年長者に頼っていいんだからね!」
「……うん」
「……もう心配かけちゃダメ、だからね!」
「……ごめん」
回された腕に力がこもり、少し苦しくなるが今は黙って姉ちゃんの愚痴を受け入れる。
何分か、何十分かわからないがようやく回された腕が解かれる。
姉ちゃんの瞼は少し赤くなっており、泣かせてしまった事に罪悪感が募る。けど、本人はだいぶ落ち着いたのか、にっこりといつもの明るい笑みが戻っていた。
「これから、紫苑が何かあったら、必ず私に相談するように!」
「……はい」
◆◇◆
食事中、あの時校長に言われた事を思い出す。
「そういえばさ、親善試合の事だけどさ……」
「ん……?」
スプーンを口に咥えたまま、コテリと首をかしげる。
「姉ちゃん、何を提案した……」
「……校長のお喋りめ」
一瞬だが、姉ちゃんの背後に黒いオーラが立ち昇った気がした。
「まあ、何をどう言われたかは知らないけど……。私は提案しただけで、了承したのは向こうだからね?」
「じゃあ、なんで俺が出る事になってるのさ!」
あくまで誤魔化そうとする姉に対し、確信をつく。
「あはは、まあ紫苑なら引き受けてくれそうだし?今回の件で下がったイメージの回復も兼ねて、ね?」
引き受けてくれるよね?と笑みを浮かべながら言われると反論のしようがない。
「けど、プロが出て大丈夫なの……?」
「まぁ、ご心配なく。紫苑はあくまでラスボスポジだから」
「……は?」
思わず素っ頓狂な声をあげてしまう。
姉ちゃんは楽しそうな笑みを浮かべながら、説明を続ける。
「私が提案したのは、親善試合なんだからせっかくだからタッグデュエルなんてどうですか〜って言っただけだよ」
「つまり本校とノース校がタッグを組むと?」
Exactlyと流暢な発音で肯定される。
そして、こちらを指差しながら宣言するり
「ズバリ、両校から二人の"勇者"を選出して、"魔王"に挑む!」
「…………また巻き込まれるのか」
ニヤリと得意げな笑みを浮かべる姉を見て、思わずため息を吐く。
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