第1章 光をもとめて
第4話 明日がなかった盗賊団
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壁の異質さは触れた瞬間に解ったのだ。
ブリティシュは、暫くは考え事をしていたがランス達の話を聞いて何かを思い出した様だ。
「……ああ、盗賊達が攫ってきた娘達か。多分君らが探している娘だけじゃなくて、何人かいると思うよ?」
「なんだとっ! それは本当だろうな!」
「うん。間違いないよ〜。壁として過ごして来た時間の長さは伊達じゃないってね。違う声が何回か聞こえてきたし。でも、最初の娘の声が聞こえてきてから大分時間も経ったし、急いであげた方が良いと思うよ。彼女達は≪出る≫事が出来るんだから」
「よーし、それは本当だろうな?」
「ま、あくまで声を訊いただけだから。声色から女の子だったし、内容までは訊けなかったから、何とも言えないといえばそうだけど」
ブリティシュがそう言うと、何だかランスがムカついたようだ。
「む! 何だかボクシングをしたくなったぞ」
「……え?」
ずんずんと進んでいくランス。そして両の拳を握ってあの壁の前に立った。その顔はちょうど良い高さにある様だ。
「ちょちょ!! う、動けないんだから勘弁してよー」
「……おいランス。流石に酷いぞ」
思わずユーリもそう言って止めようとするが、ランスはお構いなく。
「それ、ワンツーパンチだーー!」
ブリティシュの顔面ぎりぎりの位置でのシャド−ボクシングを披露していた。当たるか当たらないかのギリギリで。
「ひぇぇ!! こ、怖いっっ!」
顔面に当たるかどうかの寸前で空を叩く拳。中々の寸止めパンチだと思うがする意味がイマイチわからない。
「今のが嘘だったら、今度は当てるランス・パンチを見舞うからな!」
「嘘じゃないって!!」
「うむうむ、よし 嘘だったらパンチにに戻ってくるが、本当だったら放置だな。いやぁ実に残念」
「全然残念って思ってないだろ……。まぁ、さっき 本人がそう言ってくれてるし。言葉に甘えて優先させてもらおうか」
「うん、構わないよ〜。どうにかしてくれようとしてくれただけでも嬉しかったよ。ありがとうねーー。(……しょーじき、フードの彼だけだけど。感謝は)」
暫く壁を触っていたユーリだったが、やはり 何も出来ないのを確認するとそう答える。
その言葉を聞いてブリティシュも大分穏やかな表情になっていた。彼としては久しぶりに盗賊の様な連中じゃなく、まともな人間とまともな話しが出来ただけで十分だと、それだけで感謝をしていると思う程だったのだ。
ユーリは壁を調べている過程で、ブリティシュの手に触れた。
その時だ。
“きぃぃぃぃぃぃ………。”
(あ、あれ?)
突然、ブリティシュはまるで時間が停止したかのような錯覚に見舞われた。こんな感覚は1500年近く壁とし
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