第1章 光をもとめて
第4話 明日がなかった盗賊団
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そうだ。注意深く2人で探していると、普通ならありえない場所にいた。
《壁の中》に。
その姿は赤い髪、そしてだらしない髭、顔と両手だけを壁の中から出したしょぼくれたオヤジがそこにはいた。
なぜ、こんな所に?と思ったがランスが先に声をかけた。
「驚かせやがって。なんなんだ? 貴様は。壁に埋るのが趣味の変態か?」
「違う違う。埋められたんだって。僕の名前はブリティシュ。何も好きでここにいるわけじゃないって。出来たら出してもらいたいほどだよ」
珍妙な出会い。
だが、この男は只者では無いのだ。今でこそ、何処か抜けたような表情、そして仕草だったがあの声を駆けた瞬間まで気配を感じなかったのは只事じゃく只者ない。
そして、そのだらしない中年オヤジだが……何処か身に纏っている雰囲気がある。もう、年季は経っているが……嘗ての英雄だった。とか?
英雄、とは言いたくないかもしれない。先ほどから、ランスに『かまってかまってー』と言い続けているから。
英雄の成れの果て、と表現をし直したほうがいいかもしれない。
このユーリの感覚は間違ってなかった。間違ってないどころか、的を得ていた。これは後に語られる事になる程の出来事。
年号が変わった一年目。
全てが始まると言っても過言じゃないその歴史の変わり目に。
3人の英雄が嘗ての英雄に出会ったのだ。
〜盗賊団アジト 盗賊の迷宮 詰め所〜
壁にめり込んだ男は出してくれないか?と懇願していた。ユーリは、先程の様に固められている壁にゆっくりと触る。暫く目を瞑り……、目を開けた。
「それで、どうかな? 出せそうかい?」
「……ん、すまない。これは非情に強力な力を感じる。簡単に破壊出来る様なものでもなさそうだ。解呪出来るかと思ったが……、≪今の力≫じゃ無理の様だ」
「そんなぁ……。ん……。(今の力?)」
壁にめり込んだ男、ブリティシュは残念そうにしていたが、最後の言葉に引っかかったようだ。今の、と言う事は何れは解ける様になる可能性が有ると言う事だろうか?と。……が、この姿になって文字通り動けず悠久の時を過ごしてきた呪い。
そんな簡単にいかないのは判る。
「おい。そんな変な男はほっとけ。この靴さえあれば、あんな結界なんて簡単に越えられることが出来るんだ」
「はぁ……、おいおい。この男が聞き耳を立ててくれたから、あの結界を越えられそうなんだぞ? ランスがなんだし、恩を受けたら報いるのが普通だろう。……まぁ、壁から出す方法が無い以上は、酒場のマスターの娘の事も気になるが」
ランスは、先にさっさと行こうといっている。単なる好奇心に過ぎないけれど、この男を出してやりたいと思ったのだが、この
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