第1章 光をもとめて
第4話 明日がなかった盗賊団
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親と子は……、一緒にいるべきなんだと。
「……」
その姿を見た時、ズキリと胸の奥で響いてきた。だが、振り払うようにし、穏やかな表情で親子を見ていた。
そして、その後に宴が始まった。
勿論パルプテンクス以外の少女達も家に送り届けた。
初めこそは、ランスを待たなくて良いのか?と思ったが、もうもてなしてくれる準備を始めていたからそのままはじめた。
「いや 本当に感謝する! 俺のたった一人、腹痛めて生んだ娘を救ってくれて! あんたらならって信じていたぜ!」
「お酌します。このブランディはとても美味しいと評判なんです」
親父の意味不明な言葉はとりあえず、聞き流し、パルプテンクスが注いでくれた酒を一口頂く。
香りも味も、そして色合いも良い。
「……確かに飲みやすく美味い。ありがとう」
ユーリは、そのグラスを上に持ち上げ答えた。何度もあることだが、仕事終わりの一杯はいつも格別。それが、人助けだったら尚更だった。
「いやー、人は顔じゃねぇって綺麗事はよく聞くがアンタ、まさにそれだな!?酒もいける口だし、気に入っちまった!」
「……一言余計だ」
確かによく聞く言葉だが、自分にとっては要らない言葉でもある。
掛ける相手に良い言葉だと言う事はわかってはいるが、自分の事では間違いなく……。
(はぁ……、同じ境遇の奴はいないのかねぇ……。分かち合いたいって思うな。こういうとき特に)
こういう話題となったら、本当に酒も進むのだ。……言わば自棄酒ってやつ。
「いやー ほれ! どーだ? 俺の娘を是非貰ってくれないか?」
「もう、お父さんったら……」
冒険者を長く続け、重ねていけばこういう手の話も稀だが出てくる。……勿論、自身の容姿の事程は出ないけれど。
「ユーリさん。本当にありがとうございました。ランスさんにも、そうですが。……ありがとうございました。本当に……」
「構わないさ。……無事で良かった」
ユーリはそう言うと、再びグラスを口元へと持っていった。すると、酒場の外が騒がしくなってきた。
どうやら、もう1人の男が帰って来たようだ。
「オレ様帰還だー! さっさとご褒美をよこせ」
「あ、ランスさん!」
ランスが帰って来たと同時にパルプテンクスが早足に駆け出した。
「あ、先程は本当にありがとうございました」
「何、気にするな。英雄であるオレ様なら助ける事など楽勝なのだ」
ネカイが本当に上手くやってくれたのだろう。色んな意味で。
「だが、随分と遅かったな。……ま、大体想像は付くが」
「ふんっ!! 次こそは、オレ様のしたいようにしてやるのだ! 新たなもくひょうだ!」
どうやら、ネカイはランスを手玉に取り続けた様だ
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