第1章 光をもとめて
第4話 明日がなかった盗賊団
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目に、ネカイと話をしていた。彼女は他の団員とは毛並みが全然違うと言う事はもう判っている。
そのライハルトとやらを庇ったり、とはしないと思ったのだ。
「ふ〜ん。入りたいんだ……」
舌をぺろりと出し軽く唇を舐めるネカイ。その仕草を見れば 色っぽいと人は思うだろう。
「まぁな。だが、不思議なものだ」
「んー? ああ、女のコ、さらってくる様な盗賊団にあたしがいる、って事?」
ネカイは、ユーリの目を見てある程度悟った様で、そう言っていた。他の団員達の所作も大体把握をしているからだろうか。
「確かに、それもあるな。……正直、こんな盗賊団に収まる器だとは思えない」
「へぇ、随分とあたしの事、買いかぶってくれてるじゃない?」
「一応、見る目はあるつもりだ。……ランスに関しては……、まぁ 特殊な事例って事だな」
「あははっ! まぁ、確かに。アンタと真逆なタイプじゃない? あのコ」
口元に手を当てて、本当に楽しそうに笑うネカイ。団長の事を話している姿とはまるで違った。そして、一頻り笑うと、笑みを止めて、その胸元から1つの鍵を取り出した。
「合鍵は一応、持ってるけど……?」
「ほう。……つまり、『欲しければ奪ってみろ』と言いたいのか?」
ユーリも、朗らかな笑みを見せた。絶対的な自信がその身体から出ている様だ。
そして、その雰囲気から、ネカイ自身も理解出来た様だ。
「いいえ、あたしも、結構見る目はあるって思うんだ〜。……戦って勝てる相手か、そうじゃないか、くらい、把握出来る程度は、ね♪ つまり、アナタには勝てそうにないもの」
あくまで笑みを崩さないネカイ。お手上げだと言っているのにも、だ。
「ただね〜、合鍵を壊す事くらいはできるのよ? あたし」
「……何か要求がありそうだな」
鍵を取り出して、くるくると回すネカイ。寸前まで距離を詰め、攻撃と奪う事を同時にする。できなくはないが、成功の確率はかなり低いだろう。そして、何よりもこの女が本当に悪い奴だとは思えない。
さっきのあの女の子達を犯していたあの男達の上に位置するのだが、どうしても、見えないのだ。
「ええ。アナタのその袋から頭を出してるソレが欲しいの。……ソ・レ!」
ネカイは、その長い指を1点に向けた。その先にあるのは、ユーリが背負っている道具袋。冒険者の必需品といっていいアイテムが詰まっている袋だ。
「ん? この酒か?」
ユーリが袋の中を見てそう言った。確かに長く大きめの瓶だから 袋からはみ出ている。故に判ったのだろう。
「ええ。葡萄酒がきれちゃっててね〜。買いに行くのも面倒だし……、それと交換、してあげてもイイわよ? この際種類はもう良いしね〜」
ネカイはそう言うと鍵を前にだした。
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