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逆さの砂時計
魔窟の森 2
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実際のところ、貴方は私をどうにもできないのではありませんか? 首を落とすというのもハッタリですよね」
「!」

 クロスツェルを囲むエルフ達に緊張が走る。

「……何故、そう思う?」
「私が一族の力? を帯びているからですかね? 私はただの人間ですが、それ故に、この力が何なのかを知りたいのではないかと。どうでしょう? ベゼドラも一緒に長さまと会わせてくだされば、詳細をお話しできますが。というより、一緒でないと説明が難しいのです」

 エルフが眉を寄せ、ため息混じりでクロスツェルに体の正面を向ける。

「長に判断を仰ぐ。 ここでしばらく待っていろ」
「え!? この悪魔は追い出さないのか、ネール!?」
「わざわざ長様に尋くまでもないって!」

 ネールと呼ばれたエルフは、ざわつくエルフ達を置き去りにして、軽々と木の上に飛び乗り、枝から枝へと渡りながら、あっという間に姿を消した。

 膝を払いながら立ち上がるクロスツェルに、ベゼドラが苦笑う。

「今度は創造神信仰か?」
「まさか。私は、この旅の合間に様々な物事を見聞きしましたが、今並べた内容が真実なら、どんな信仰も全力でお断りします。誰が殺されても意味が有るとか無いとか。それこそ、生命に対する不遜というものでしょう。神はきっと完全ではないし、人間も悪魔も不完全。ですが、それは良いことでも悪いことでもない。きっと、()()()()()()()()()なのです」

 ヒューッと口笛を吹いて笑うベゼドラに。
 この場に残っているエルフ達は、意味が解らないという顔をした。

「さっきから、お主らの言うことがさっぱり理解できぬ。創造神様が人間に罰を下さないのは、今は療養中であられるからじゃろうが」
「そりゃまた、ずいぶん長い休みだな」
「当たり前じゃ! 創造神様は神々をお護りになって力を使い果たされた。そうまでしてこの世界を救おうとされたというのに、お主らときたら!」
「俺は勇者を直に見て知ってるが、創造神なんぞ関わってなかったぞ?」
「な、なにぃ!? そんなバカな!」

 リーシェが目を丸々として驚く。
 いちいち反応が大きい子だなあと、クロスツェルは和んだ。

「う、うううそを申すでないっ! 我らの里には、ちゃんと口伝が……」

 ガクガクと全身を震わせるリーシェを、仲間達が
 「そうだよ、嘘だよ! アイツ悪魔だもん!」
 「騙されちゃダメだよ!」
 などと言って、懸命に励ましているが。
 クロスツェルは、多分本当に関わっていないのだろうと、頭の中で思う。

 クロスツェルは、神も悪魔も創造神なる者の造物と仮定して説教したが、ベゼドラも、ネールと呼ばれたエルフも、その点に異議を唱えなか
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