暁 〜小説投稿サイト〜
黒魔術師松本沙耶香  人形篇
11部分:第十一章
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
を離れようとした。だが思い直して扉のところで立ち止まった。
「二つ程聞いておくことがあるわ」
「何ですか?」
「貴女の名前は?」
「真由子です」
 少女は名乗った。
「斉藤真由子と申します。この学園の高等部の一年です」
「そう、真由子さんというの」
 沙耶香はその名を聞いてその黒い切れ長の目をさらに細めた。
「覚えておくわ。私の愛しい人として」
「そんな」
 それを聞いて俯いて顔を赤らめさせた。
「そしてもう一つ聞きたいのだけれど」
「何ですか?」
「ここの部活は活動しているのかしら」
「はい、今もやっていますよ」
 彼女、真由子はこう答えた。
「私を入れて八人でやっています」
「そこに顧問の先生も入れてね」
「はい。デリラ先生がやってくれています」
「デリラ先生」
 それを聞いた沙耶香の眉が動いた。
「若しかしてシスターデリラかしら」
「御存知なんですか?」
「ええ、ちょっとね」
 沙耶香は答えた。
「菜食主義の人よね」
「はい」
「あの人が顧問だったの」
「先生の作られる人形って凄いんですよ」
「そんなに」
「本当に正確で綺麗で。まるで生きているみたいで」
「生きているみたい、ね」
 それを聞いてどういうわけか不吉なものを感じた。
「そんなに素晴らしいのね」
「はい。御覧になられますか?」
「よかったら」
 彼女は頼んだ。
「見せてもらえるかしら」
「わかりました、それじゃあ」
 真由子はそれを受けて立ち上がった。そして部室の奥にある棚から一体の人形を取り出してきた。


[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ