彼女達の結末
一 姉妹
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通さない。通すわけには、いかない」
リティが投げかけた言葉。その言葉に対しても……彼女達の服装。身に着けたそれが生前と同じそれであるならば、きっと。面識もあったのだろう。言葉を交わす彼女達は……けれど。目の前の少女の姿を見ても、思い出すことが出来ないようで。寂しそうに顔を顰め、顰めながらも、気丈に。言葉を紡ぎ。
銃へと。彼女は手を伸ばして。リティもまた、ホルスターへと戻した銃へ。両手を伸ばした。その時に。
「っ!?」
彼女の足元。赤い光、地面の焼き焦げる音。見れば。
空中に浮遊する少女、何時現れたのか。機械の下半身、宙に浮き、光線を撃ち出したその姿は、あの時、地下のホームで見た。
「バルキリー! 何をしに来た!」
「クイーンの指示。援護する、ネメシス」
言葉を交わすが早いか、機械の彼女は……バルキリーと呼ばれた少女は。腹部、備えた射出口。赤く光を放ち始めるその装置から、また――
放たれる瞬間に。地を蹴り、撃たれた光線。それが、私達の居たその場所の先、地面を焼いた音を聞き。私達の回避、生じた隙と共に、右手の建物。先ほど彼女が現れた、その建物の影へと身を滑らせた……ネメシスと呼ばれた彼女は、私達の目の届かない場所へと身を隠して。
「マト、行こう」
頷く。彼女は既に、その手に。巨大な銃を構えようとし。私も、また。力を込めた獣足、今すぐにでも跳び出せるところ。
「……終わったら少し、街を見て回ろう。何か、昔の手掛かりが見つかるかも知れない」
思わず。彼女の顔を見る。彼女は、そんな私に。小さな笑みを浮かべていて。
今から。自分達と同じ境遇の少女、彼女達と。壊し合わなければならない、この状況で。胸に、暖かな。暖かな思いが込み上げて来るのを、感じ。
地面を蹴る。強く、強く。彼女の側を離れる、離れる瞬間に。
言葉に。笑みで返して。
大きく、半ば跳ねるように蹴りだしたアスファルト。次に着く足は、その勢いに、前へ前へと先走る体に、置き去りになりそうで。けれど。出鱈目な筋力、感覚は。その勢いを殺すこと無く。その勢いに、殺されてしまうことも無く。踏み込み、蹴りだし、また、加速して。銃弾にも似た勢いを以って、宙に浮かぶ彼女の元まで……影の落ちるその場所を目指し、駆け抜け、そして。
右側、真横から飛び出した影。赤い帽子、灰色の髪。リティの持つものと同じナイフを逆手に握り、私へと向けて飛び出す、ネメシスの姿。
酷く遅く流れる時間。目と目が合い。振り上げる余分な腕、備えた爪。半ば殴りつけるように振り抜いた腕、親指の変わりに突き出した鉤爪で。その、ナイフの刃先を受け止め、握り。駆け抜ける勢いと、腕の筋力。力ずくでその刃を?ぎ取ろうとすれば。
手を離す彼女。
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