第16話 馬中の赤兎、そして天使の声
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
いていた。
「確かあっちに居るんだっけな。よっしゃあ!行くぜ!
待ってろよ赤兎!おれの歌を聴かせてやるぜえ!」
そう叫びながら賈?たちと、そして赤兎がいるであろう西へと走り出す。
それから30分ほどが経ち、また場所が変わって賈?が赤兎を待ち構えていた。
「・・・来たわね・・・。」
そう呟く賈?の目線の先には大きな体を誇りながら悠然と歩く赤い馬が来た。
「相変わらず偉そうに歩くわね。でも、今日こそは捕まえてやるわ!余裕でいられるのも今のうちよ!」
そう呟く賈?と赤兎との距離はおおよそ1キロといったところか。
話と関係無いが、目の悪い賈?がそれほど離れた距離の赤兎を見つけられたのは、いくつかわけがある。
一つは賈?は軍を指揮する立場なので、全体を把握する必要がある。
そのため、小高い丘にいるから、少し離れた距離でも、見ることができる。
二つ目は赤兎自身にある。その赤く大きい体は良くも悪くも目立ち過ぎる。これが最大の原因である。
そして賈?から見て赤兎を包囲する形であった。
これは幾重にも張り巡らせた罠と、精鋭である騎馬隊での包囲という意味だ。
これで賈?の策は成った。
あとは策を実行し、捕らえるだけである。
だが、賈?は采配を振り下ろしてはいない。
(あいつ、私を、騎馬隊の方を見て、その上で歩いて来た。そして悠々と草原の草を食べてる・・・)
賈?は赤兎の振る舞いに驚愕していた。
自分たちのことを歯牙にも掛けないような振る舞いに、そして怒りが込み上げる。
「・・・上等じゃない。その余裕、いつまで続くか見せてもらおうじゃない!」
そう叫び、賈?は右手に持つ采配を掲げ、
「全軍、作戦通りに動け!あの赤いのをとっ捕まえるわよ!」
振り下ろし、作戦を開始する。
まず、赤兎の左右と後ろに位置する騎馬隊が突撃する。
赤兎はそれに気づくと、前へと走りだす。
左右からも突撃をさせたのは、後ろだけでは追いつくどころか離される一方なので、左右にも1列に並べ突撃させたのである。
それでも赤兎の足を止めることは出来ず、駆け抜けてしまう。
だが、それは想定内である。
「よし、今よ!」
賈?の合図で地面に伏していた兵たちが槍を赤兎に構える。
赤兎の脚を止めるためである。
これならと賈?は思った。
だが、赤兎はそれを見ても脚を止めることはない。
むしろさらに速度を上げ、兵たちに近づく。
(突撃して兵が逃げだすようにするため?おあいにくさまだけど、うちの兵に馬に恐れをなして逃げ出すような奴はいないのよ!)
そう思いながら、槍兵の後ろに隠れる網を持った兵たちに合図を送る。
奴が脚を止めたら、網を投げ、絡ませ、捕まえる。
至極単純な手だが、網は一度嵌れば抜け出せない。
単純だがこれが効く。
(さあ、
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ