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真・恋姫無双〜中華に響く熱き歌
第15話 滞在中、そして新たな出会い
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も速くてなあ逃げられちまうんだよ。」
「しかも頭もいいらしくて罠を仕掛けても見破られちまうらしいんだよ。」
「だからこの并州の刺使の董卓様の軍師の賈?様なんかも頭を悩ませてるみたいだぜ。
民百姓なんかがその馬のことで陳情に来るらしくてな。」
「へえ」
そう返事を返すバサラだが、その顔は笑顔である。
「あと、その馬は特徴があってな、普通とは全然違うんだよ。」
「違うってどんなんだ?」
「まず、体がでかくてな、だいたい兄ちゃんと同じくらいって聞いたぜ。」
「次にさっき言った足がとても速いだな。
賈?様が何度か捕獲しようと兵を派遣したんだが、軍の馬でも追いつけなかったらしいぜ。」
「この并州は馬の扱いに長けた兵が多いから並の馬なら捕まえられるはずなんだが、そいつには追いつくどころか離される一方だったらしい。」
「そんで1番の特徴がそいつの毛は燃えるような赤だったらしい。」
「だからそいつのことを『赤兎』っておれらは呼んでるんだ。」
「赤兎、か」
そこまで聞いてバサラは顔を空に向けて
「どんなやつなんだろうな・・・」
と笑顔で呟く。
「そういえば、朝に詠ちゃんが『今日こそは捕まえてやるわ!』ってなんか張り切ってたなー」
と呟く。
だがバサラはその言葉を聞いていない。
そして、
「会いたいぜ、赤兎!」
と叫んだ。
いきなり叫んだバサラに驚いた目で見る男たちと月。
それに構わず
「おっさん、そいつはどこに現れたんだ?!」
「そ、そいつはこの晋陽西の方に現れたって聞いたぜ。
まさか兄ちゃん、もしかしてそいつに・・・」
「ああ、そいつにおれの歌を聴かせてくる!」
「まじかよ??やめとけ兄ちゃん、あぶねえぞ??」
「そうだぜ、いくら兄ちゃんの歌が良くても相手は馬だぜ?分かりっこねえよ!」
2人の男はバサラを止めようとするが、
「バサラさん・・・」
月は複雑な表情を浮かべながら、バサラを呼ぶ。
「あん?」
「おそらく、あなたはいくら止めても行くでしょう。ですからどうか、ご無事で。」
そう言ってバサラを送り出す。
「へっ!おれはおれの歌を聴かせに行くだけだぜ!
だから、心配すんな。それにな」
そこまで言ってから、月に教えるように話す。

ー「感動するハートに人も動物も関係無えんだぜ?」ー

月は、バサラの言葉を聞いた瞬間、驚きの表情を見せた。
それは、近くにいた2人組の男もそうだ。
「よっしゃあ!そんじゃまあ、行ってくるぜ!」
そう言ってバサラは走り出した。
(バサラさん・・・あなたは、あなたは本当に、自分の歌を、聴かせて感動させることしか考えて無いんですね。
どうしてあなたはそこまで・・・?)
そう思いながらバサラのことを見送る月であった。

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