第14話 嫉妬
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祠に住んでいる化け物こと呂布、真名は恋と歌にて心を通わせたバサラ。
そこでとんとんが呂布になぜこんな化け物の振りをしてまで食べ物を置かせていたのか尋ねる。
それに呂布は
「・・・」
無言で近くの繁みを指差す。
そこからは
『あん!あん!』
大量の犬が出てきた。
「・・・この仔たちのご飯、もらうため・・・」
そう言いながら近寄ってきた犬たちを撫でる。
「・・・悪いことだとは分かってた。
けど、恋は恋がお腹いっぱい食べれなくても、この仔たちはお腹いっぱい食べてほしかった。」
「そうだったんですか・・・」
呂布の言葉を聞き、とんとんはそんな声を上げてしまう。
とんとんから見た呂布は、武の腕は西涼にて鍛えられてきた自分から見ても見たことがないほどだった。
それ程の腕を持ちながら、とても澄み切った水のように純粋な心の持ち主でもある。
そんな人物がこんなことをやるには何か理由がいる。
そう思っていたとんとんは呂布の言葉で納得した。
その一方でバサラは、
「なんだなんだお前ら。そんなにおれの歌が聴きたいのかよ。
なら聴かしてやるぜ!いくぜ!突撃ラブハート!」
と足元や周辺に寄ってくる犬たちに歌っていた。
だが、その曲調はいつもと違っていた。
いつもなら曲がテンポ良く早く流れ、歌もそれに合わせて歌うが、今歌っているのは曲はゆっくり流れ、歌もそれに合わせている。
そのため、いつもの早いテンポで勢い良く歌わずに、ゆっくりと言葉一つ一つに思いを込めるかのように歌う。
それを聴いていたとんとんは少し驚きながらも笑顔であった。
村や祠で歌っていたバサラの歌は熱く燃え上がるかのような、胸の奥から何かが込み上げてくるかのような歌だった。
だが今はどちらかと言えば静かに落ち着かせるような、さながら子供を眠らせるために子守唄を歌う母親のようであった。
(バサラさん、こんな歌い方もできるんだ。この人はいろんな歌を、歌い方を聴かせるために、どれだけの努力をしてきたんだろう・・・)
そう思うと、改めてバサラに尊敬の念を抱くとんとんであった。
それから一晩を祠で過ごし、村へと帰った。
村人たちに今回の件の報告へと戻ってきたのだが、村人たちは、呂布のような女性が化け物の正体であることに驚いていた。
それは大の男が3人がかりでも持ち上げられそうにない岩をたった1人で動かし、あまつさえ祠の入り口に置いてしまったのだから、しょうがない。
当の呂布は何を驚いているのか分からず、首を傾げている。
そこでとんとんは、呂布を村に置いてくれないかと頼む。
これは、呂布がこの村に迷惑をかけたことは重々承知の上でのことである。
最初とんとんは、呂布から感じた武の才から軍に入ってはどうかと勧めようとした。
だが、呂布はこれまで見たことが無いほ
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