虎と龍の思惑に
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た瞳の光は暗く、それでいて少女に似合わない妖艶さ。口元の笑みが気になった。
「……黒麒麟の発明?」
「此れについては後で。今は増援を送りましょう」
確かにその通りだ。聞く時間などこれからいくらでもある。今は便利な道具よりも戦場の方を優先しないと。
「私が行こう。城で待機させていた部隊もそろそろ我慢の限界だからな。いつも以上の働きを見せてくれるだろう」
「孫権さん自ら、ですか?」
訝しみながら諸葛亮が首を傾げた。
「飛将軍が何時出てくるとも限らない。その時の危険は重々承知の上よ。でもここで指を咥えて見ているなんて……私自身が許せない」
そうだ。姉さまみたいな武力は無くとも、部隊を指揮することで手助けくらいは出来る。後ろで構えているだけの王になどなりたくも無い。もう私も、随分待ったのだから。
「……賛同できません。あなたは飛将軍を知らなさ過ぎます。たった一人で三万の賊徒を壊滅させ……徐公明、関雲長、張翼徳の三人掛かりで傷一つ付けられない武人を前に、何が出来るというのですか」
冷やかな目で飛んでくるのは真正面からの否定。
その圧力に、私は思わず生唾を呑み込む。
諸葛亮はその被害の大きさを理解している。それがどれだけ馬鹿げていることか分かっているのだ。灼眼の瞳は雄弁に語る……敵は間違いなく、化け物だと。
「情報では知っている。だが……」
「じゃあシャオも行く」
ギシリと歯を噛みしめたと同時に、後ろから声が掛かった。
振り向くと見えたのへ決意の眼差し。強い光を宿す蒼い目に、煌く輝きが燃えていた。
しかし容認など出来ない。
「シャオ、お前はこれが初戦場だろう? 却下だ」
「ヤダ。シャオだって戦えるもん。姉さまが戦ってるんだよ? お姉ちゃんも行くんでしょ? なのにシャオだけ此処で待ってろって?」
そういうだろうとは分かっていた。私達が戦うというのにシャオだけ置き去りに、なんて出来るはずも無い。妹の個人的な武力は……今はもう私より上。
難色を示し押し黙っていると、シャオの頭をグシグシと白蓮が撫でた。
「シャオは私と一緒に行こうか。朱里は蓮華と共に行け。お前と蓮華なら周瑜とも上手く合わせられるだろ? 私とシャオは白馬義従による遊撃と攪乱主体で飛将軍の意識を引き付ける。それにお前ら……勝利条件を間違ってるぞ」
落ち着かせるように息を一つ吐いた白蓮は、私達をぐるりと見渡した。
感嘆の吐息を漏らしたのは諸葛亮。浮かべるのは期待の色と、信頼の微笑み。諸葛亮は分かっていて私達を試した、ということ。
「勝利条件は揚州の防衛であって、飛将軍の討伐じゃあない。頭を討ち取らないと終わらない戦ってわけじゃなくて守れば勝ち。そうだろ、朱里?」
咎めるような
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