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黒魔術師松本沙耶香 妖女篇
4部分:第四章
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れるしダンカンもだ。実に多い。
 独裁者はロベスピエールである。彼とジャコバン派からナチスやソ連が誕生したと言ってもいい。フランス革命は全体主義も生み出したのである。
 英雄についてはナポレオンのことである。コルシカに生まれた彼こそがフランス最大の英雄であり軍神であった。英雄とは彼のことに他ならない。
 そして問題は二人の怪物である。一人はフーシェである。ジャコバン派に属し多くの者を殺しナポレオンの側近でありながらやはり彼を裏切った。彼が一方の怪物でありもう一方の怪物がタレーランだというわけである。これがフランス革命の二人の怪物である。
 沙耶香はそのタレーランが考えた料理の出し方をさせてみせたのである。そしてこう館員に対して言うのであった。
「今のフランスではこれは無作法になるのかしら」
「それはどうでしょうか」
「そうとも言えないわよね。しっかりとこの出し方の意義もタレーランは言っていたから」
「それはその通りです」
 タレーランの言葉は流石に嘘と言うことも否定することもできなかった。それをするにはあまりにも有名な人物だったからである。
「ですがまさかそれをされるとは」
「考えたのよ」
 沙耶香は声に笑みを含ませて述べた。
「一度してみようかしらとね」
「それでですか」
「実際にやってみるとどうなのか」
 さらに述べる沙耶香であった。
「そうね。確かに見栄えがいいわね」
「それは確かに」
「一品ずつ出すのはロシア式だけれど」
 こうしたことまで知っている沙耶香であった。ボックスにおいて流麗な言葉を出し続けている。

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