魔窟の森 1
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に、何かの仲間達が怒りを表し始める。
だから言葉は選びなさいと、常日頃から言っているのに。
クロスツェルが内心で頭を抱えていると。
その腕から、目を覚ました何かが勢いよく跳ね起きた。
「痛い! お主、いきなり何をするのじゃ! いわれなき暴力は、聖天女の怒りを買うぞ!」
自身に向けて突き出された何かの人差し指を。
ベゼドラは鼻先で軽く笑い飛ばす。
「異空間に吹っ飛んで久しい奴が生きてて、このやりとりを直に見てたら、そうだったかもな?」
「聖天女は現代も生きておられるわ無礼者!! 彼の御方は貴き天神の一族でありゃしゃりぇりゅじょ!」
「リーシェ。噛んでる噛んでる」
「はぐ!? ……うぐぐぐぅ〜っ」
口元を両手で押さえ、顔を真っ赤にして仲間達の背後へ回り込む何か。
……なんだろう、ちょっと可愛いな。
なんて、クロスツェルは微笑ましく思いつつ、立ち上がる。
「ベゼドラ。彼らは何者なのですか? 人間と違うのは、耳の形や肌の色で分かりますが」
悪魔への問いかけに、耳長の彼らが息を吐いた。
呆れ、嘆き、諦め。
そんな感じの、深いため息。
「毎回そうだが……人間がここまで無知に成り下がっていると思い知ると、何の為に彼らが命を懸けてこの世界を護ったのか、分からなくなるな」
ベゼドラと話していた相手が、クロスツェルと正面から向き合う。
「我らは、天神の次席を任された聖なる一族、エルフ。神々より遣わされし勇者一行が遺した聖地を、代々護り継いでいる者だ」
「天神? アリアとは違うのですか?」
「あの女は、紛い物だ」
「紛い物? アリアも女神なのでは」
「不遜な。真の神々は既に、この世界には存在しない。神々は世界を離れ、神の血脈の半分を継ぐ天神の一族、最後の一柱であった聖天女もまた、勇者一行と共に異空間へ飛ばされてしまったのだから」
「……アリアは天に属する女神だと、ベゼドラに聞きましたが」
ベゼドラに目を向けるが、彼も首を傾げた。
ベゼドラも詳しくは知らないのだろうか。
「力は確かに一族の気配を感じさせた。だが、あの女は女神などではない。その証も持っていなかった」
「証?」
「神々の力の象徴。純白の翼だ」
ベゼドラの目が丸くなる。
「あれ、全員に付いてるもんだったのか」
「…………ベゼドラ…………」
神代に生きていた悪魔とは思えない一言に。
クロスツェルを含めた、その場の全員が呆れ返る。
「ンなもんに興味なかったんだよ」
よくよく考えてみれば、魔王を退けた英雄を知りなが
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