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逆さの砂時計
魔窟の森
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見てたら……そうかもな?」
 「聖天女は生きておられるわ無礼者!! 彼の御方は天神の一族でありゃしゃりぇりゅぞ!」
 「リーシェ。噛んでる噛んでる」
 「はぐ! ……うぐぐぐぅ」
 顔を真っ赤にして口元を両手で抑え、仲間達の背後に回り込む。
 ……なんだろう、ちょっと可愛いな。
 なんてクロスツェルは微笑ましく思いつつ、立ち上がる。
 「ベゼドラ。彼らは何者なのでしょうか? 人間と違うのは、耳や肌で分かりますが……」
 悪魔に問い掛ける人間に、耳長の彼らは一斉に溜め息を吐いた。
 呆れ、嘆き、諦め。そんな感じの、深い溜め息。
 「毎回そうだが、人間が此処まで無知に成り下がっていると思い知ると、何の為に彼らが命を懸けてこの世界を護ったのか……分からなくなるな」
 ベゼドラと話していた相手が、クロスツェルに正面から向き合う。
 「我らは天神(てんじん)の次席を任された聖なる一族・エルフ。神々より遣わされた勇者一行が遺した聖地を代々護り継ぐ者だ」
 「天神(てんじん)……? アリアとは違うのですか?」
 「あの女は紛い物だ」
 「紛い物? アリアは女神では」
 「不遜な。真の神は既に、この世界には存在しない。神々は世界を離れ、天神一族最後の一柱であった聖天女もまた、勇者一行と共に異空間へ飛ばされてしまったのだから」
 「アリアは天に属する女神だと、ベゼドラに聞きましたが」
 ベゼドラに目を向ける。彼も首を傾げた。ベゼドラも詳しくは知らないのだろうか。
 「力は確かに一族の気配を感じさせた。だが、あの女は女神などではない。その証も持っていなかった」
 「証?」
 「神々の力の象徴。純白の翼だ」
 ベゼドラの目が丸くなる。
 「あれ、全員に付いてるもんだったのか」
 「……ベゼドラ……」
 神代に居た悪魔とは思えない一言に、クロスツェルを含めたその場の全員が呆れる。
 「ンなもんに興味無かったんだよ」
 よくよく考えれば、魔王を退けた勇者を知りつつもアリアに封印されるような悪魔だ。神々と一戦交えるなどはしていなかったのだろう。
 「もしかしてお主……雑魚……」
 「殺す。」
 哀れなものを見る目で口元を抑えるリーシェに、袖を捲って威嚇する大人げないベゼドラ。
 「止めなさい、ベゼドラ」
 クロスツェルも同じ事をちらりと考えてしまったが、胸にそっとしまう。
 「人間。お前からも、僅かだが一族の力を感じるな」
 「?」
 クロスツェルが自らを指して私ですか? と目を瞬かせた。
 「一族の力を帯びた人間は、聖天女以降初めてだ。……通りすがりと言ったな、悪魔よ」
 「ああ。俺達は旅をしてるだけだ。アリアに関係しないなら、此処に用は無い」
 エルフは、袖を戻して腕を組むベゼドラに向き直る。
 「ならば
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