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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
ニ十四話 破壊の宿業 [弐]
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んだけが、悪い訳じゃないです……俺にだって、責任があります」
クラナもまた、同じように俯く。

「…………なんで…………クラナ君は、なにも……」
「俺が、もっと早く気が付いてたら、もっと強かったら、ちゃんとジークさんのあれも、受けられた……あの熊達も、ちゃんと守れたんです……本当に、ごめんなさい」
「ぁ…………」
あの場に居た、後二つの生命。母熊と小熊の内、母熊は救助隊が駆け付けた時、既に……息絶えていた。
大量の出血と、何らかの原因による急激な衰弱、この二つの重なりは、熊の生命力を突きさせるには十分すぎたらしい。治癒魔法の類が使えないジークは力尽きて行く母熊を、ただ見ている事しか出来なかったのだと言う。

小熊は衰弱こそ激しかったものの何とか持ち直したらしいが、母親が居ない以上、すぐに自然界に返す事は難しいだろうとの事だ。

それらを、ジークは全て、自分の所為だと抱え込んでしまっているのだと言う事が分からないほど、クラナは察しの悪い人間では無い。
自らの罪を認める事と其れを償う事は、人にとっては必要な事である、だが今のままでは、ジークは自分がした事実に押しつぶされてしまう。その危うさと怖さを、クラナはよく知って居た。だからこそ、より早く、より強く駆けた……
……いや、或いは理屈を抜きにしても良いのかもしれない。結局のところ……

「……だから、一人にならないで、下さい」
きっと自分は、泣いていたこの少女(ひと)を、一人にしておけなかっただけなのだから。

────

「……聞かへんの?」
「え?」
ひとしきり泣いたジークを近くにあったベンチに座らせ落ち着かせると、ようやくしゃくりあげる事を止めたジークが不意にそんな事を言った。一瞬何のことか分からずクラナは首を傾げる。そんな様子がおかしいと言うようにジークが力なく笑う。

「ウチが、あの時した事とか、どうして病室から逃げてしもうたんか、とか……」
「あぁ……」
なるほど、と言うようにクラナは空を見上げる。少し考えるように頬を掻いてから、小さく笑って彼は答えた。

「……俺、あんまり、人に聞かれたくない事とか、あるので……」
「……あんまり、キミもそう言う事を人に聞かないように……?」
「はい」
変でしょうか?とジークを見たクラナに、ジークはふるふると首を横に振りながら何処か歌うような、穏やかな声で答える。

「変なことないよ。ただ何も聞かんと傍に居てくれたんは君が初めてやったから……」
「…………」
それはある意味で仕方の無いことだと、ジークは心の何処かで納得はしていた。当然だ、あの……触れる者全てを壊してしまう爪を宿した自分の姿を見て、事情も何も確認しないまま近くに居ようとする人間がそう多くいる筈がない。人間は、いや、人間に限らず生命は
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