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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
ニ十四話 破壊の宿業 [弐]
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思うほど、弱弱しく、肩を震わせ、自らの右手を胸の前で左手で包みながらうずくまる。

「ぅっ……ぁあ……ッ……!」
押し殺すように、呻くように、少女は嗚咽を漏らす。今日の内に味わった後悔が、一斉に彼女の心を焼き焦がす。
幾つもの感情の全てが頭の中で滅茶苦茶に暴れ回り、ただ泣く意外に何かを考えることも出来ない。理性の何処かが先程まで居た場所に戻ることを叫んでいたが、肥大した感情の全てがそれを拒否していた。もう一秒も彼の前に、彼等の前に立てる気がしなかった。

地面に二つ、三つと小さな染みが増えていく。
あぁ、またこの感覚だと、何処か客観的な部分が、自分を冷静に分析しているのをジークは自覚する。誰もいない暗い暗い何処かで、自分がたった一人になっていく感覚。何処までも続くような、終わりの見えない孤独……

「ウチは…………」
誰もいない、何も見えない、何も聞こえない……
誰にも会いたくない、何も見たくない、何も聞きたくない……

「──ジークさんっ!」
……え?

「…………!」
あり得ない声が聞こえて、ジークは顔を上げる。水を通したように歪み、滲んだ視界に、一人の少年が居た。何時の間に前に居たのだろう?そんな疑問を浮かべる間もなく、その黒い瞳と目が会った瞬間に身体がすくむ。クラナが一歩歩くごとに、手足の先が冷え、なのに胸が熱く、動悸が早鐘を打つ。
だから、なのか……

目の前に迫ったクラナに包まれた自分の両手から、まるで火のような、けれどとても優しい温かさを感じて、ジークは動けないまま、その瞳を至近距離から見つめた。

「大丈夫、ですか?」
「…………ッ……!」
身体が震える。手から伝わった熱が全身を焦がし、驚きで止まって居た涙と、孤独感の中で凍りつき掛けていた心を溶かし、鼓動を強く、早くする。
やがて……

「ぅ、ぁ……ぅぁぁぁあぁああああああああああ!!!」
「!?」
叫ぶように、とにかく大声で、ジークは泣いた。身体中から溢れる感情を、抑える事が出来なかった、後から後からと涙が止まることなく押し寄せ、地面を濡らしていく。

「え、えと、ジークさん!?あの、その……な、泣かないでくださ……」
「めんっ……ごめんなさい……!ごめんなさい……っ!!」
「……!」
泣きながら……ジークはただただ謝罪した。何度も何度も、縋りつくようにその言葉を口にする

「ウチの所為や……ウチが……ウチは……!」
きっと、謝っても謝っても、償うことなどできはしない。そうジークは分かっているのだ。しかしそれでも、謝らずにいられない。そうしなければ、自分の中に彼女自身が自分の罪を抱えている事が出来ないのだ。……クラナは祈るように謝り続ける彼女を見ながら、どこかそんな風に思っていた。だから……

「…………ジークさ
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