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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
ニ十四話 破壊の宿業 [弐]
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さん……どうかお願いします……!』
『……はい!』
答えて走り出したクラナの懐から、アルが言った。
[Buddy. Enchant comes from far away.]
「は!?」
────
「ふーっ……」
病院の屋上に立ったなのはは、バリアジャケットこそ装着しない物の、既にレイジングハートを展開してクラナの様子を確認していた。
[Master.]
「うん、行くよっ!」
言うと同時に、彼女の足元に魔法陣が展開される、しかし何時ものようなスフィアやバレッドは展開せず、ただ純粋な魔力の行使が行われていた。
「(今のキャロみたいには難しいけど、単純な支援ならっ!)」
魔力を放出しつつ、“その場で術式をくみ上げる”データベースから参照した術式と自分の基本術式との整合性を可能な限り高め、調整し、効果を高める
「(発生対象をクラナ・ディリフス・高町に固定。座標確認……完了、対目標距離想定範囲内。術式構成完了、行使シュミレーション……完了、問題無し。行使準備完了……)」
[Standby.]
閉じていた目を開き、なのはは唄うように紡ぐ。
「我が斯うは、癒しの風、愛しきその身に、強き息吹を……!」
[Enchant Relieving fatigue]
────
「……!」
不意に、クラナの身体を桃色の温かな光が包んだ。其れと同時に、クラナの身体の倦怠感や痛みが解けるように一気に消えていく。
「すごい……」
なのはの
支援魔法
(
エンチャント
)
だ。其れを理解し、思わず声が漏れた。これなら走ることも容易だ。そして母の後押しは、これだけでは無い。
────
一つ目の魔法の効果が発揮されるのを確認するや否や、並行して完成させたもう一つの術式を発動。なのはは重ねて詠唱を紡ぐ。
「我が斯うは、疾風の翼、愛しきその身に……駆け抜ける力を……!」
[Boost Up Acceleration]
────
「……よ、し!」
其れを受けると同時に、クラナは加速した。普段の加速魔法とは勝手が違う。だが十分だ。これなら追える。絶対に追いつく……!
「ふっ……!」
[あ、相棒!お身体のことも考えてください〜!?]
加速し、軽くなった身体がまだ緑の多い街中を駆け抜ける。焦ったようなアルの声は耳にも入らず、風のような速度でクラナは街を抜ける……
「……アルッ」
[は、ハイ?]
「……聞きたい事がある」
────
「……ッ……」
病院からやや離れた郊外、周囲に何もない、小さな池のある公園で、ジークはようやく立ち止まった。無意識の内に魔力による身体強化を使ってまでも全力の全速力で逃走した少女はしかし、その驚くほどの疾走力がまるで幻だったのではないかと
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