暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
ニ十四話 破壊の宿業 [弐]
[1/17]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
「はっ、はっ、はっ……!」
病院の前、オートパイロットのバスロータリーまで来たクラナは、息を切らしながらジークを探した。ふだんはこの程度で息が上がるなどあり得ないのだが、どうやらなのはの言う通り、相応に消耗しているらしい。

「……ヴィクトーリアさんっ」
「く、クラナさん!?その恰好……」
「ジークさんは……!?」
「そ、それが……」
心底困ったように、ヴィクトーリアは胸の前に手を当てる。それだけで答えは知れた。

「お嬢様!」
「エドガー!どう!?」
「申し訳ありません、見失ってしまいました……」
走りよってきた自らの従者に、ヴィクトーリアは急くように聞く、しかし彼もまた首を横に振り小さく頭を下げた。

「そう……どうしたらいいの……どうしたら……」
「……ッ」
「く、クラナさん!?待って!」
再び走り出そうとしたクラナを、ヴィクトーリアが引きとめる、振り向いたクラナに彼女は焦るのをヒュ死に加工したような顔で聞く。

「どうするつもりですの?」
「探します、この辺り虱潰しに」
「それでは時間の無駄です!今エドガーに探知してもらった限りではもうジークはこの病院の半径1000m圏内にはいない、つまり本気で逃げているんです!そうなったジークは、私達も簡単には見つけられません。そんな彼女をどうやって……」
「そんなの、どうやってでもに決まってる!!!」
「!?」
いきなり怒鳴ったクラナに、ヴィクトーリアは気圧されたように半歩下がる。即座にはっとしたように我に帰り、クラナは深々と頭を下げた。

「すみません……!」
「い、いえ……でも、やはり闇雲に探すのでは……」
「っ……」
『クラナ』
「!?」
悔しそうに歯がみをするクラナの頭に、不意になのはの声が響いた。念話だ。

『ジークリンデちゃんは、其処から東に1800m行った所にいるよ、今も走ってる、追いかけるなら急いで!』
「……1800……」
遠い!とクラナはもう一度歯噛みした、体力が減っている上に、魔力不足で加速を上手く使えないクラナが走るにはキツイ距離だ。

『大丈夫、何とかしてあげられると思うよ』
「…………!」
優しげな声が響く。言外に「私を信じて」とクラナにははっきりとそう聞こえた。だから、答えは迷わなかった。

「……はい……!」
「クラナさん……?」
不思議そうにクラナを見たヴィクトーリアに大きく頷き、クラナは東の方向を見る。

「ジークさんが見つかりました。見つけたら連絡します!」
「え、わ、わかりました!すぐに追いかけますわ!」
言うが早いが走り出すクラナの頭に、今度はヴィクトーリアからの念話がかかる。

『今のジークは、とても不安定です、もしかしたら本当に心が追いつめられているかもしれません、クラナ
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ