九十九 無双
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「――と言う夢を見たんだ」
「現実を見なさい鳴滝君。
私たち赤組は誰かさんが企てた作戦によって反則負けになったのよ」
その日の部室にて、話題を反らすために言った俺の発言をバッサリと切り捨てる雪ノ下。
「まさか反則になるなんてね」
「誰かさんが包帯で下手な小細工しなければ勝っていたのに」
女子二人に攻め立てられる比企谷。
「悪かったよ、誰も見てないと思ったんだ。
だいたい、堂々と戦闘を繰り広げてた鳴滝にも責任はあるだろうが」
机に頬杖をついてそう言った比企谷は気まずそうにそっぽを向く。
そんなこと言っても挑んできたのアイツだし、別に殴り合いじゃないしなぁ。
「し、しかし何だ、結構頑張ったよな!赤組は!」
「うん!ヒッキーも結構頑張ってたよね!」
「そう言う由比ヶ浜はリレーで転んでたよな」
「なぁっ!?何見てんの!?ヒッキーマジでキモい!」
「お互い様だろうが」
「ヒッキーとは違うし!」
何やら痴話喧嘩を繰り広げる二人。
若干ながら疎外感が感じられてくるのだが。
「ところで鳴滝君?」
「………何でしょうか雪ノ下さん」
不意に雪ノ下に呼ばれて振り向くと、ニッコリ笑った雪ノ下が俺を見ていた。
今はその笑顔が逆に怖い。
「命令を一つ、聞いてもらうから」
「待て!それは何かが間違っている!
俺は結構頑張ったし、何より赤組が敗北したのは俺だけのせいではないはずだ!」
「それでも負けたことにはならないわ。
それとも、貴方はこんな簡単な約束も守れない狭い男なのかしら?…甲斐性なし?」
「約束は破るためにあるって誰かが言ってた!」
「駄目よ。これは破ることの出来ないものなの。諦めて従いなさい」
「ひ、比企谷…」
「すまん。俺には何も出来ない…」
…そうか。
やはり俺には神なんて者は憑いていないと言うことなんだな…。
「…良いだろう。
男 鳴滝九十九!誠心誠意この身を献上してやる!」
「あら、私はまだ何も言ってないのだけど?」
態度を良くすれば軽いものですむかな〜なんて考えてないぞ?ホンとにホントだよ?
「さ、さぁ!何でも言ってみろ!」
「ふふっ…まだ言わないわ。
この件は残しておく事にするの。後で使う方が効果的だもの」
「なっ…ぐぬぬぬ」
この女…!確実に楽しんでやがる!
「何か二人とも楽しそうだね!」
「ええ。とても楽しいわ」
「鳴滝…」
「比企谷…俺はもうダメかもしれない」
こうしてその日は終わりを迎える。
それでも明日は来るし、次の日もその次の日も必ず来るのだ。
こんな日常が繰り返されるのも悪く
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