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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
ニ十三話 破壊の宿業 [壱]
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翌日。既に朝もやが晴れはじめた河原にチョコンと立つ大きめのテントで、一人の少女がスゥスゥと寝息を立てている。
まぁ少女と言っても、既に16歳の彼女……ジークリンデ・エレミアは、女性としては既に十分に成熟した肉体を持っていると言える。背丈も恐らくこれ以上伸びる事は無いだろうし、格闘家としては、胸もこれ以上の大きさは必要ないと本人は考えていた。
「ん、ぅ……」
ごろんと寝返りを打つと同時に、其れがきっかけになったのか、彼女はうっすらと目を開けた。
「んー……」
上体を起こして目をこする。
昨日はどうしたんだったか……確か、歳の近い少年と一緒に練習をして其れから……そう、色々あって食事をして同じテントで寝たのだ。練習の心地よい疲れからか、あっという間に寝付いてしまったのは、少しもったいなかったか。そんな事を思いつつ、キョロキョロと辺りを見回した彼女は、眠たげな声で言った。
「クラナくーん……?」
────
「…………」
朝餉の支度をしつつ、結局近い歳の少女と同じテントに寝てしまった事を思い出して、クラナは顔を赤面させる。その顔にはやや疲労の色がある。
正直を言うと、すぐ隣に割と洒落にならないレベルの美少女が寝ていると言う事実に緊張したせいで昨晩はなかなか寝付けなかった。しかも相手も自分も寝袋では無く普通の掛け布団。だと言うのに最近暑いだとかでジークはタンクトップ一枚で寝る上に寝像が悪いのか此方に近寄って来るから最早寝るどころの話では無い。
そのようなふがいない自分を律しつつ、今は食事を作って居る所だ。
とりあえず、ベーコンエッグをパンにはさんだ物で良いだろう。ジークはコメが好きなようだったし焼き魚と味噌汁におにぎりも考えたが、完全に昨日とメニューが被るので止めておいた。
「んー?あー、クラナくん……?おはよう〜……」
「あ……おはようございます」
[おはようございますジークさん!]
「えぇ匂い〜」
ぽわわんと微笑みつつ鼻をぴくぴくさせるジークを見て、こうして見ると猫みたいだな。等と思いつつ、クラナは苦笑した。
「……ご飯、もう少しでできますから」
[ジークさん、顔を洗ってらしてはいかがですか?]
「ん、そうする〜」
まだ若干覚醒しきって居ない様子のジークにアルがそう言うと、ジークは相変わらずのほほんとしたままトコトコと川べりに近寄って行くジークリンデに苦笑して、クラナはフライパンを火の上からのける。そうして皿の上に目玉焼きを置いた……直後、其れが目に飛び込んできた。
「ふぁっ……!?」
ガサガサと川の反対側から草をかき分けて出て来たのは……小熊であった。大きさは、丁度中型犬と同じくらいか。まるで食事の匂いに誘われるように、浅い川をのそのそと渡って来る。
「え、ちょ……!?」
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