それゆけ! べぜどらくん。
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まりそうな倉庫一棟に山程積まれた荷物を託された。
配達道具は、手引き式リアカー一台。のみ。
「三台有る荷馬車の内、二台が過積載でぶっ壊れちまってよぉ。人手が全く足りてねーのよ! よろしく頼むわ」
全部ぶっ壊してやろうか。
……と思ったが、なんとか堪えた。
ふつふつと沸いて来た感情は全部ロザリアにぶつけてやると心に決めて、荷物に手を掛ける。
リアカーに積めるだけ積めて、指定域の一番遠い場所から届けて行く。
配達予定時刻は一軒目から既に遅れていた為、届け先でいきなり苦情を貰った。殺してやろうかと思った。
二軒目にも少しの遅れがあったものの、淡々とした受け渡しで済んだ。
三軒目は、ほぼ予定通りに届けて感謝もされた。当然だと思う一方で、お疲れ様と差し出された水が甘く感じた。
その後も着々とあり得ない速さでミス無くやり遂げ、男達から称賛されまくったベゼドラは、明日も来いよと誘われつつ大幅に割り増しされた報酬を手に、クロスツェルとの待ち合わせ場所へと戻った。
街灯がぽつぽつと光り出した夕闇の中で、街を護る大門に寄り掛かってクロスツェルを待つ。
くだらない。実にくだらなくて面倒臭い事をさせられた。人間の生活ってヤツはなんて不便なんだ。……などと愚痴を溢していると、少女を連れたクロスツェルが現れた。
「お疲れ様です、ベゼドラ」
「ケッ」
微笑む元神父の胸に報酬が入った茶封筒を投げ付けると、それを手に取ったクロスツェルは中身の確認もせず、丸ごと少女に手渡した。
「……本当に、良いの……?」
少女はベゼドラとクロスツェルの顔を交互に見て、戸惑いを見せる。
「良いのですよ。その代わり、明日もリリンに会わせてくださいね」
俺の意思はまるっと無視かよ。と睨むベゼドラを躱して微笑むクロスツェルに、少女は瞳を輝かせて抱き付いた。
「ありがとう! リリンを助けてくれてありがとう! お兄ちゃんも、お金をくれてありがとう!」
少女はベゼドラにも駆け寄って、足にぎゅうっと抱き付いた。
意外にも、ベゼドラは蹴飛ばしたり突き放したりはしない。
「ウザイとは言わないのですね?」
「誰かさんの我が儘の所為で疲れただけだ」
両目に涙を浮かべて喜ぶ少女は、急ぎリリンを預けた病院へ戻って行った。どうやらクロスツェルが前金を支払って看てもらったらしい。
「どうでしたか? 初めてのお仕事は」
「暑い、疲れる、鬱陶しい、煩い、むかつく、面倒臭い、二度としたくない」
躊躇無くポンポン飛び出す文句に苦笑すると
「だが、飯は旨い」
最後に思いがけない言葉が飛び出した。
クロスツェルは目を丸くして……くすくすと笑う。
昼食に出された卵焼き入りのサンドイッチは、この日以降ベゼドラの好物になっ
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