それゆけ! べぜどらくん。
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、下町の人間など素知らぬ振りで充足した生活を謳歌している。
「放っとけ」
ベゼドラも、面倒臭そうに頭を掻いた。
「喰って良いってんならともかく、基本ガキは嫌いなんだよ。うるせぇし、我が儘だし、汚ぇし。そいつ一人助けてなんになるってんだ」
「ベゼドラ。言葉は選びなさい」
へいへい、と肩を持ち上げて横を向くベゼドラを見て……クロスツェルはふと思い付く。
「働きましょうか」
「あ?」
「路銀を調達してください、ベゼドラ」
少女の肩に手を置いたまま立ち上がったクロスツェルは、爽やかな笑顔でベゼドラと向き合った。
「俺か!? これまで通りお前がやれよ! 皿洗いとか介護とか、ぜってー断るぞ俺は!」
「それでは間に合わないから貴方にお願いしているのですよ、ベゼドラ。もっと大きな報酬を得る為には重労働でなければいけません。私では体が耐えられませんから。あ、当たり前ですけど、人間に危害を加えてはいけませんよ」
「お前、本ッ当に良い度胸してるよな。悪魔に日中から労働しろとか、アホか!」
「ですが路銀が無いと私は死んでしまいます。ロザリアに会える確率が格段に落ちてしまいますね」
「死体を持ち歩くから問題無い」
「私は結構重いですし……腐る前に会えると良いですね?」
ベゼドラの顔が思いっきり苦虫を噛み潰した。
「……覚えとけよ、この似非神父!」
「私はもう、神父ではありません」
「喧しい!」
ふんっ!と鼻息を吐いて、ベゼドラは街中に踏み込んで行く。
夜、此処で待ち合わせましょうと手を振るクロスツェルの横で、少女が不安そうに彼を見上げた。
「大丈夫ですよ。障りが無ければ、貴女の名前を教えていただけますか?」
少女は苦しそうに肩で息を整えながら、クロスツェルのコートにしがみ付いて答えた。
「……レネ」
「それなら荷物運びの仕事があるぜ」
街の役所に入ったベゼドラは、案内人の紹介で日払いの仕事を引き受けた。
この一連の流れは、路銀を稼ぐ為にクロスツェルがしていた事だ。ベゼドラが働いた経験は無い。
案内人が手配した紹介状を片手に指定された現場へ行ってみれば、厳つい体型の男達がニヒルな笑顔を浮かべて彼を歓迎した。
「ようこそ、若人よ。今日から君も素敵な運び屋だ。体を酷使して良い汗かこうぜ!」
「うわ。ウゼェ。」
思わず回れ右して飛び去りたくなったが、クロスツェルの説教に比べればまだマシ……と自分に言い聞かせて、大人しく男達から仕事内容を聞く。
この日の荷物は、外国から海を跨いで届いた織物や家具等の生活用品。
これらを街中の商家に配達するのが役目だ。
街内の一部を赤い丸で囲んだ地図と商家のリスト、荷物の宛先リストを手渡され、二階建ての民家三軒が余裕で収
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