月詠編 暗雲
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、あなた自身よ」
「…………」
カリムとシャッハが私達のために密かに努力していた事を知ったことで、ヴォルケンリッターの皆から何も知らずに文句を言ってしまって申し訳ない気持ちと、私一人を行かせるしかない事に対する複雑な感情がリンクを通じて伝わってきた。しかし……ここまで手筈を整えるために二人も多くの危ない橋を渡ってきたに違いない。ならその期待に、私は……。
「受けるよ。私、タンカー護衛任務をやるよ」
「はやてさん……!」
「カリム達のおかげで総合的に見てローリスクハイリターンといううまい話やし、これほど実戦経験を積むのにちょうどいい任務はあらへん。皆心配なのはわかるけど、私なら大丈夫や」
「主……わかりました。主はやてがそうおっしゃるのであれば、私達は主の覚悟を見守りましょう」
「やるならちゃんと無事に帰って来いよな! 怪我とかしたら、はやてでも承知しねぇぞ!」
「もし怪我しても私が治療するから大丈夫よ。そのためにも、危なくなったらはやてちゃん自身の命を優先してね」
「ふむ……我らの主は兄上殿の背中に追いつこうとしているのだな。それなら俺も、その小さな背中を支えるとしよう」
皆の承諾も得られたことで、カリム達も安堵の息を吐いた。ともあれタンカーが今も移動しているというなら、意欲を示すためにもすぐ向かった方がええよね。
「では……ただいまより、管理局嘱託魔導師、及び聖王教会騎士見習い八神はやて、出動します!!」
突然やけど私が単独任務をすると聞いて、何か忘れている要素があるとは思わへんか? ……そう、動かなかった私の足や。いくらリハビリを多くこなしてきたとしても、4か月では微妙でまだ完治とは言い難いらしい。一応、車イスなしで日常生活を過ごせる程度には回復しとるけど、走るなどといった激しい動きはまだマキナちゃん譲りの身体強化魔法無しでは出来へん。マキナちゃんは腕に魔力を集中させて腕力を強化してきたから、そのノウハウを以前教わってから私の足に応用している。おかげで魔法が使える場所なら負担をかけず、普通の人のように走る事も出来るようになった。何年ぶりに走れた……あの時の感動は今もはっきりと覚えている。サバタ兄ちゃんに足を動かせるようにしてもらった時と同じく、自分の意思で自由に足を動かせていると実感したのは、それが二度目だった。
要するに何が言いたいかというと、私は身体強化魔法を足に常時使用する代わり、自由に動けるってこと。単独でも護衛任務ぐらいお手の物や。
「そのつもりやったんやけど……なんかえらくヤバ気な感じやなぁ……」
ミッドチルダ北東部の海上……雨が降る天候の中を飛行し、護衛するタンカーを発見した私は甲板に降りた直後、どうも船内の異様な気配に違和
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