月詠編 暗雲
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ンカーの護衛に回せる人間がいないのです」
「なるほど、言いたいことは読めました。要するに私にタンカーの護衛任務をこなさせることで、経験を積ませようという話ですね」
「その通りです。こんな状況だからこそ犯罪者や火事場泥棒が活動する可能性もありますが、流石に海上を進む聖王教会のタンカーをわざわざ襲おうとする者はいないでしょう。しかし万が一という事もあるので、タンカーが無事に陸地へたどり着くまで見張っておいてほしいのです。あとヴォルケンリッターの皆さんはここで騎士達の指導や指揮を執ってもらいたいので、はやてさんは一人で任務をこなさなくてはなりません」
「待ってくれ! 主はやてをお一人で向かわせるつもりなのか? 流石にそれは賛同しかねる!」
「いくら危険度が低いとはいえ、いきなりはやて一人に任せるのは危ないんじゃねぇか?」
「そうだ。せめて我らの内の一人でも同行させてほしい。俺達にも騎士としての誇りがある、主の危機は出来るだけ避けたいのだ」
「騎士としてだけではありません、私達はサバタさんから直々にはやてちゃんを頼むと言われています。その約束を違えてしまえば、指名手配の件と相まってサバタさんからの信頼を完全に失いかねません。そんなことは誰も望んでいないでしょう?」
「皆さんの仰る事はよくわかります。しかし――――」
「待って! まだ話は終わっとらん……最後まで聞いてから、私が判断するよ」
皆の反論を抑えると、渋々ながらも引き下がってくれた。皆が私を大事に想ってくれているのは今のやり取りで十分伝わってきたけど、それでは私自身が先に進めへんのや。
「ありがとうございます。……実はこの任務を達成すれば、はやてさんに聖王教会から正式に“准騎士”の階級が与えられるように騎士カリムと手を回しています。今のはやてさん達は俗に言うゲスト……古代ベルカの技術を持っていることで重要人物扱いにはなっていますが、それ以外では何の権限も持っていない状態です。しかし公的な立場を手に入れれば、管理局に対する発言権を小さいながらも得られるのです」
「ッ! つまり私から管理局に、サバタ兄ちゃんの指名手配撤回を意見することができるっちゅうことですか!」
「そういう事よ。だけど、いくらなんでも実戦経験皆無の人間に騎士の階級を与えるのは早計じゃないかって内部からの反発も多いから、それを黙らせて正式に認めさせるには、一度でもはやてさんが単独で任務をこなす必要があるの。もちろん、この場で任務を放棄しても構いませんし、ヴォルケンリッターの方々と一緒に任務を果たしても構いません。しかしそれだと反発の意見を抑える事が出来ず、准騎士の階級を授けられません。これは、私達からあなたに与えられるせめてもの選択肢……。だからやるかどうか選ぶのははやてさん
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