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リリなのinボクらの太陽サーガ
月詠編 暗雲
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、出来たらこの世界には生き残ってもらいたいけどね』

「そうですか。……どうやらトーレの方も艦長が観念したようで、じきに在りかが判明するでしょう。朗報をお待ちください」

『期待しているよ、私の大事な娘たち』

通信を切った彼女は、ふぅ……と一息入れた後、憐れむような目を壁の向こうの第二船倉へと向ける。その大きな隙を見逃さず、私は背後からクルセイダーを彼女に向けてバインドをかけながら言う。

「動くなっ!」

「…………ふむ、私としたことがうっかりしていたな」

「何を言うとるんか後で聞くとして、そのままゆっくりとこっちへ向くんや」

バインドのかかった状態でも手足だけは動くため、彼女は器用にこちらへとその姿をさらした。彼女の手にあるナイフが気になるが、今の状態では振るう事も投げる事も不可能だろう。

「あんた、何者や? ここで何しとる? どこに連絡しとった? この人達を捕えたのはどうしてや?」

「……照準がブレているぞ、初陣の人間に見られる特徴だ。どうやら新米らしい」

「その初陣の人間に捕まっとるあんたは、むしろ新米以下って所やね。それよりさっきの質問に答えてもらおうか?」

「ふ……自分が優位に立っていると思い込んでいるのは、実に滑稽だ」

彼女がパチンッと指を鳴らした直後、爆発音と共にタンカー全体がいきなり激しく揺れる。咄嗟にバランスを整えようと踏ん張るが、彼女が手に持っていたナイフを翻した直後に発砲音が発生する。

仕込み銃(スカウト・ナイフ)!? うっ!」

左肩に当たった銃弾はバリアジャケットの防御で弾かれたため、傷を負う事は避けられた。しかし衝撃は伝わったせいで私の身体は後ろに軽く吹き飛び、バインドが解除されてしまう。急いで態勢を立て直し、彼女の動きに警戒しようとしたら、いつの間に接近されたのか首筋にナイフが添えられた。

マズい……捕まえたつもりが、逆に捕まえられてしまった。屈辱的や……!

「なるほど、試しに使ってみたが魔導師相手では威力不足だったか。しかし不意を突く手段としては有用だな」

「ゆ、油断した……まさかナイフから発砲するなんて……」

「前に魔法無しでトーレを投げた者との戦闘以降、個人的に地球の戦術に興味を持ってね。仕込み銃はスぺツナズのものだが、やはり一番気に入っているのは……っと!」

話している最中に形勢逆転を狙い、即座に立ち上がってクルセイダーの銃口を向けようとしたら、彼女は素早い動きで私の腕を掴んで引っ張る。前のめりによろけた私を彼女が全身をひねって腕を振るい、柔道のように私の身体が宙返りさせられ、仰向けで床に勢いよく叩き付けられてしまう。背中からの衝撃で肺の空気を無理やり吐き出させられ、酸欠で意識が飛びかける。しかし……私を再び劣勢
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