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ダンジョンにSAO転生者の鍛冶師を求めるのは間違っているだろうか
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つまり、俺は完全にあのプレイヤーの手の上で踊ろされていたのだ。
顔を上げると、俺の心中を読み取ったのかリーダー格のプレイヤーが醜悪に口端を吊り上げた。
「じゃあこれで、お前はしまいだ」
そして、器用に投剣を中空に向かってくるくると投げ上げていた手を止めて、構えた。
先程の攻撃で既にHPゲージは一ドットしか残っていない。
あの投剣が外れることもない。
つまり、俺はもう死ぬ。
こんな余りと言えば余りにも情けない死に方で。
冷静であれば、こんな薄っぺらな罠になんか引っ掛からなかった。
ただあんな状況で冷静になれるほど俺は冷徹ではなかった。
つまり、俺はリーダーの器などではなかった。
いかなる状況でも取り乱してはならないリーダーにはなり得なかったのだ。
そんな俺をあの世で待ってる仲間に何て言われるのだろうか。
わからない…………けれど、せめて、ミナトを逃がしたかった。
こんな時に神は何を見ているのだろうか?
なんで奇跡が起きないのだろうか?
と、リーダー格が腕を振り上げて必殺の投剣を投げるという一瞬の時間のうちで俺は意味のないことで頭をいっぱいにする。
だからだろうか、俺は気付かなかった。
傍を一陣の風とともに最愛の少女が通り過ぎたのを。
「ミナトっ」
少女が突如として俺の前に現れた――そう感じた。
少女は俺の方を向いて、大の字になって俺を庇っていた。
「よせっ、ミナト!!!!どけええええええええ――」
俺は唯一思い通りに動く口を開けて、絶叫した。
なのに、少女は笑みを浮かべていた。
それを知覚した瞬間、ナイフが刺さったときの音とは思えない爆音に意識が途切れる。
◆ ◆ ◆
「ちょっと、どうしたのよっ!!」
「うぅー、ああっ?」
くらくらとする意識の中、裂け目のような細い揺れる視界に顔の輪郭を捉えた。
だけど、その輪郭が余りにもフニャフニャで誰だかわからない。
というか、くらくらするのはその人物が俺を揺らしているからだった。
指が
減
(
め
)
り込むほどの強さで両肩を掴まれて前後に揺さぶられていた。
「や、やめてくれっ。は、吐きそうっ」
その激しさや、寝起きだったこともあって、吐き気を催した俺はその人物に言った。
すると、その人物は何も言わず、手を止めてくれた。
ゆっくりと見開き、目が回っているようになかなか定まらない焦点を揺さぶっていた人物の顔に合わせていると、その頭上に、例に漏れず、NPCの黄色いカラーカーソルが浮かび上がる。
まだ、字がぼやけてていて読み取れなかったけれど、輪郭が確かになってきた顔とその左右から生えている黒い触手からおおよそそれが
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